086 君を救うためについた嘘
「光子郎くん!」
彼の小さな体を発見するのは容易かった。何分、栞は守人であるがゆえに、デジモンの存在を感知できる。栞が駆けよれば、光子郎は、ほっと安心したように表情を和らげた。自惚れでなければ、だが。
「栞さん!来ていただけたんですね!」
「大丈夫だった…?遅くなってごめんね、」
「いいえ、僕も今来たところなんです」
そう言って、光子郎は目の前を見上げる。つられて、栞もそちらへ視線を動かせば、灰色のへどろのような体でこちらを這ってきているデジモンがいた。「あれは―」無意識のうちに、学習していた。「レアモン、」名を呟けば、光子郎が重々しく頷き、片手で抱えるパソコンの画面を見た。
「その、ようですね。肉体の機械化に失敗して体が腐った…」
「わっ…」その時、何かが栞の足元を竦め、消えて行った。同時に、光子郎のリュックにつけられていたデジヴァイスが、ピピピ、と音を立てた。これは近くにデジヴァイスがある時に反応する。つまり―。
「な、なんでっか?」
「八人目が…ここにいるんだ!」
他の選ばれし子供たちはここにはいない。つまりは、デジヴァイスが反応するとしたら、他のデジヴァイスでなければならない。意図しないところで、どうやら八人目が近くにいるらしい。
「そりゃおおごとや!今見失ったら、次いつ探せるか分かりまへんで!ここがワテが何とかしますさかい、光子郎はんと栞はんは八人目を探しなはれ!」
バサッと被っていた外套を脱ぎ棄て、テントモンは高く飛び上がる。光子郎は真剣なまなざしでテントモンを見つめる。
「いいのか?」
「それしかおまへんやろ。最初から倒すつもりできたさかい、栞はんが来てくれたおかげで進化もできますよって、大丈夫ですわ」
「…気をつけて、テントモン。――お願い、」
願いを、祈りを、テントモンに捧げる。天空を裂き、光が舞い降りる。その光は、テントモンを包み込み、データの再構築を始めた。
テントモンからカブテリモンへ――「テントモン進化ァ!―カブテリモン!!」まるで幼虫がさなぎに、そして蝶になるように、羽ばたきを見せた。
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