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「おじさん、あの、」


 数十分経ったくらいだろうか。車のドアが空いて、おじは飛び起きるようにそちらを見た。栞がいた。特に何の問題もなかったようで、安心する。「お帰り、栞」おじがいつもと変わらない様子だったので、栞はホッとして後ろを見た。


「どうした?」


 煮え切らない様子に、おじは先を促がす。もじもじ、と言った様子で下を見つめ、最終的にはしっかりとおじの目を見た。少しかもしれないが、この子に心を開かれていると感じるのは、最終的には目を見てもらえるということだと思った。


「友達…送ってもらっても、いいですか?」
「友達?」
「は、はい。あの、ちょっと、大変だったみたいで、え、と…お願い、します」
「別に構わないよ。家はどこなの?」
「えっと…」


 栞は後ろを振り向く。辺りが暗いせいで、その友達の顔が見えなかった。「お台場の――」という栞の言葉を耳に、「OK、分かった。じゃあ乗って。帰ろう」おじはエンジンをかけた。
 栞が車に乗り込み、次に乗ってきた子供は、「お願いします」とても礼儀正しい男の子だった。―男の子?そういえば、何となく見覚えのある子だ―確か今日一緒にいた子ではないだろうか。「はい、じゃあ行くよ」どうしてこの子がここにいたとか、栞が一緒とか、そういう疑問を全て振り払って、車は前に進んでいく。


「八人目が探せなんで、残念でおましたな…」
「でも、八人目が光が丘じゃなくて、この近くに住んでいると分かっただけでも収穫だよ。太一さんの予想は当たっていたんだ。早速明日太一さんに知らせなきゃ」
「でも、どうしていなくなってしまったんだろう…」
「そこは引っかかりますね…」


 なるたけひそひそ声で話す。特にテントモンは、聞こえるか聞こえないか程度の声だったので、幸いにもおじに声が届くことはなかった。


「明日から、だね」
「ええ。…一刻も早く八人目を探しだして、ヴァンデモンから助けなくては…」


 まだ知らぬ八人目を守る為に。
 そして、愛する家族を、世界を 守る為に。

 その時、ずきん、とヴァンデモンの城で怪我をした右足が、痛みを覚えた。


17/07/27 訂正
11/11/10

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