089 塵と消える




「ピヨモン!」
「任せて、空っ!―ピヨモン進化ァ! バードラモン!!」
「パルモン、おねがい!」
「もちろんよ、ミミ! パルモン進化ァ! トゲモン!!」


 人間が急に燃え上がり、さらには化け物に変貌した。そして極めつけは新しい化物たちの出現だった。他の客たちはパニック状態になり、我先にとタワーからの脱出を図った。


「私たちも行きましょう!」


 バードラモンが窓を突き破って外に出ると、デスメラモンはそれを追いかけ、同じように外に出ていった。バードラモンのメテオウイングがバードラモンの体にあたるが、諸共せず、さらにトゲモンのチクチクバンバンも軽く受け止め、逆に貯めていたパワーを発散するように唸りをあげた。衝撃波の威力はすごいもので、トゲモンの体はいとも簡単に吹き飛ばされた。「トゲモンッ!!」ミミが思わず悲鳴をあげた時、小さな何かが栞の服を引っ張った。それはイヴモンの微弱な力だった。


「栞、君はトリあエず安全な場所ニ!」
「えっ?どうして!」
「アイツは君を狙ッてるンだヨ!ここニいたラ格好の餌食ダ!」


 今まで、一度もそんなことを言ったことがなかったというのに、急に何を言い出すのだろう。しかし、イヴモンの目は必死そのものだった。


「僕の間違いじゃなかったら、今の君は――っ!くそっ!」
「あっ!」


 栞の目に、デスメラモンがうつる。それは段々とこちらに近づいてきていた。彼の目には、なんの感情も浮かんでなどいない。それは、恐怖も、喜びも、何一つ。
 彼らに与えられた任務は二つあるはずだ。もちろんそれは八人目を探して抹消すること、そしてもう一つは―秩序を手にいれること。ただ、それだけを求めている。


「モリビト――」


 デスメラモンが踏みしめるたびに、タワーから変な音が漏れた。栞は一歩ずつ後ろにさがっていく。ジワジワと右足から痛みが襲ってくるのがわかって、思わず顔を顰めた。空がかばうように栞の前に立っている。ミミがトゲモンを労わるように、地に足をついている。

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