「アグモン進化ァ! グレイモン!!」
飛びキックをデスメラモンに喰らわせ、グレイモンの大きな体は地にたどりつく。「メガフレイム!!」デスメラモンの体が揺らいだところで、必殺技を放つが――「だめ!デスメラモンは吸収しちゃうよ…っ!」栞の叫び通り、デスメラモンは『メガフレイム』を喰らっても苦しがるどころかにやりと笑い、炎を吸収し、更に巨大化してしまった。
「メガフレイムを吸収して大きくなっちまいやがったぜ!」
「相手は完全体です!成熟期のグレイモンでは歯が立ちませんっ!」
「成熟期がダメなラ、完全体ニなれバいイヨ。栞っ!」
―――…しゃらん、といつも鳴り響いていた鈴の音が、割と近くで聞こえた。最近では聞こえなくなっていたというのに、なんて悠長なことを考えながら、目を瞑った。
「 おねがい! 」
ふわっと風が吹き抜けた。栞の黒髪が、宙で散らばる。すべての命が自分のものであったと、錯覚する。心臓が、揺れた。
太一のデジヴァイスが振動し始め、オレンジ色の火をともした。
「グレイモン超進化ァ! ――メタルグレイモン!!」
メタルグレイモンは突進してきたデスメラモンを真正面から受け止め、押し合いを始める。体格差は殆どなくなったが、若干デスメラモンの方が勝っていた。巨大化したデスメラモンは、グレイモンのメガフレイムを吸収している分、力が勝っているのだろう。押し合いに負けたメタルグレイモンはがくんと膝を折った。危ない!と、メタルグレイモンの危機に他のデジモンたちが参戦したが、バードラモンは薙ぎ払われ、トゲモンに至っては自ら突っ込んで火ダルマ状態になって辺りを駆けずりまわっていた。
デスメラモンが口角をあげる。何かがくる。「メタルグレイモンッ、!」栞は思わず叫んだ。
守人の声は、デジモンたちに力を与える。メタルグレイモンはぐっと足に力をこめ、一気に跳躍した。
「トライデントアーム!!」
メタルグレイモンは左手を突き出し、機械化した手を、ロケットのようにデスメラモンに放った。しかしデスメラモンは自らの鎖を、メタルグレイモンの左腕に巻き付け、ぐいっと引っ張った。
「捕まえたぞ!!―ヘビーメタルファイヤー!!」
蒼い炎が、メタルグレイモンに向かって放たれた――メタルグレイモンは、小さく笑みを浮かべる。
「捕まったのはどっちかな!」
捕まっている状態だというのに、ヘビーメタルファイヤーを空中で身を捩ることで交わし、己のいる空中へと引っ張り上げた。
「なに!!?ぬお、おおおおお!!!」
凄まじい力によって投げ出されたデスメラモンは、もはや体の自由がきくはずがない。メタルグレイモンは小さく笑う。「守人とパートナーの力をもらった僕たちが、負けるわけないんだよ!」動く事がままならないデスメラモンに、メタルグレイモンから彼の必殺技「ギガデストロイヤー!!」が余す事なく、直撃した。まるで花火が打ち上げられたように、空には眩い光と硝煙が残っていた。
デジモンが消えたその瞬間、何も知らぬ人々は、「きれい」と呟いた。
17/07/27 訂正
11/12/18
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