111 余所者の宴




 深い、深い闇の中。どこまで落ちるのか皆目見当がつかないから、子供たちは悲鳴をあげる。周りは見えないほど、暗い。まるで奈落のように感じた。
 いつ終わりはくるのだろう?地面はあるのだろうか?そんな心配を他所に、ある程度まで落ちていくと、唐突に浮遊感を感じ、落下は終わりを告げる。やはり辺りは先ほどと変わらず暗闇、かろうじて他の子どもの顔が目視できる程度といったところだろうか。


「止まった…?」
「どうなっているの…?」


 どこまで落ちたのか分からないからこそ余計に不安を煽られる。状況がまるで把握できない。
 その時だった。不意にワーガルルモンの体がぴくり、と動いたのを栞は目の端で感じ、振り返ろうとした瞬間、ワーガルルモンはそのままのいきおいでガルダモンに殴り掛かったのだ。同じようにガルダモンもワーガルルモンに殴り掛かる。


「何やってんだ、ワーガルルモン!!」
「やめて、ガルダモン!!!味方同士なのよ!?」


 ヤマトと空が悲鳴に似た声をあげ止めに入るも、二匹の体は止まらない。


「私の…っ意志じゃない…っ!!」
「身体が勝手に動いてるんだ!!」
「身体が…勝手に…!?……あ!?」


 ワーガルルモンの言葉を復唱した空は、不意に何かに体を引っ張られ、味方同士で殴り合っているというこの場に相応しくないポーズをした。続けざまにズドモンの角に捕まった状態の丈の足がバタバタと前後に揺れる。


「あっ、糸がついてる!操られているんだ!!」


 すぐさま観察眼に優れた光子郎は己の指先、否、己の体全体に括り付けられていた糸に気づいた。


「ふふふ、やっと気づいたみたいだねぇ」


 子どもたちの真上から、まるで小馬鹿にしたような笑い声が降ってきた。子どものような無邪気さを含むあどけない声に、子どもたちは一斉に頭上を見上げる。
 彼らの目に映ったのは――。

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