「ピッコロモンのいう通り、人数がそろっただけでは勝てない。まだデジモンたちの成長進化が足りないってことか…」
犠牲を得て初めて痛感する。自分たちの弱さが明るみになる――その言葉には誰も何も言えなかった。
「…アッ!あれはなんや!?」
その時周辺を偵察していたテントモンが声をあげ、更に上空へと浮上する。
――それは突然訪れる。静かなさざ波が揺れる海原が、突如うねりをあげて荒波を巻き起こす。水飛沫がはじけるように飛び散って、その渦潮の中から鋼鉄のデジモンが姿を現した。
――メタルシードラモン!
真っ先に動いたのはリリモンだった。
「ここはあたしに任せてみんなはズドモンに乗って逃げて!」
「リリモン!」
花のごとく可憐な妖精が確かな決意を胸に舞い上がる。粒子が空を舞い、きらり、きらりとメタルシードラモンを錯乱させるように動き回る。案の定、メタルシードラモンはその誘いに乗ってきた。リリモンの動きに惑わされ、彼女のあとを追いかける。
「今のうちに!」
リリモンが作ってくれた時間を無駄にしないためにも、子供たちは急いでズドモンの背に乗って海原を急いだ。
子どもたちから離そうとリリモンは林の中を縦横無尽に飛び回りメタルシードラモンを誘導するも、竜は木々を薙ぎ払い、そしてぱたりとその動きを止めた。視線は海―子供たちが逃げた方角だ。
「馬鹿なやつめ…。海の上で逃げられると思うか!ウオオオオオ!!」
咆哮をあげ、長い肢体をくねらせると、竜は猛スピードで子どもたちへの追撃をはじめる。リリモンを追いかけて彼女の誘導に乗ったところで子供たちを仕留めなければ意味がない。
「ああっ、メタルシードラモンに追いつかれてしもた!」
「急げ!逃げろズドモン!!」
「そうはいくか!!」
地の利は敵側にある。彼は海の支配者、メタルシードラモンなのだ。竜は波の抵抗などまるで感じていないようなスピードでズドモンに追いついた。
悲観に満ちた声と子どもたちを追いかけるメタルシードラモンの咆哮が海に反響する。
back next
ALICE+