「フラウカノン!!」


 背後からリリモンの必殺技が命中するが、まるで蚊に刺されたかのような反応でメタルシードラモンは振り返る。ダメージは殆ど与えられていない。だが無力さを嘆いている暇などどこにもなかった。もう一度フラウカノンをお見舞いしようと構えたところで、メタルシードラモンの長い尾が海中から現れたと同時に、気づいたらリリモンはその尾によって叩きつけられパルモンに退化しながら落ちていく。
 「リリモーン!!!」ミミの悲痛な叫び声が耳を劈く。ズドモンは少し背を伸ばしてくれたおかげで、ミミはしっかりとパルモンを抱き留めることができた。「パルモン…っ」あんなに必死になって守ろうとしてくれたパルモンはミミの腕の中で息を紡ぐ。
 ズドモンは勇んでメタルシードラモンと対峙するが、何の表情もうかがえないまま、メタルシードラモンの姿は海の中へと消えていってしまった。呆気にとられた子供たちはその様子をただ見送ることしかできなかった。まるで何事もなかったかのように、海は静けさを取り戻す。

 終わりではないはずだ。どこからか隙をついて狙ってくる。―どこだ?どこからくる?

 不安と焦りと困惑で子供たちはいっぱいになっていた。


 ぴちゃん、と微かな音が聞こえ、栞は振り返る。他の子どもたちには聞こえないのか、みないろいろな方角を見ては雲隠れしたメタルシードラモンの行方を探る。
 ぴちゃん、ぴちゃん。音はだんだん近づいてくる。―それがメタルシードラモンの音であると、彼女はもう学習していた。


「くる…!!」
「なんだって!?――あっ!!」


 ふと大きな波が突如沸き起こる。気づいたときには既にメタルシードラモンの額がズドモンの身体に衝撃を与えていた。それほどまでに速かった。子どもたちは勢い余って海へと投げ出された。
 ズドモンは子供たちを助けることと目の前のメタルシードラモンと対峙することと秤にかけ、一瞬だけ子供たちの方を見たが、空と支え合っている栞の瞳が彼を動かした。
 精一杯の力を込めてメタルシードラモンに体当たりするも、鋼鉄に覆われた竜の体は固く、跳ね返されてしまった。


「ズドモン!!」

「アルティメットストリーム!!」


 バランスを崩して倒れこむズドモンにさらにある追撃が追い打ちをかける。放たれる光線は余すところなくズドモンの体を滅多打ちにしてみせ、耐えきれなくなったズドモンの体は吹き飛ばされながらゴマモンへと退化し丈の元へと落ちていく。成す術をなくした子供たちの前でメタルシードラモンは大きく高笑いする。無力な彼らをあざ笑う。絶望が襲い掛かった。

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