「へえ…。お前はすごいやつだよ。俺がどういうやつか、俺にもさっぱり分からないのにお前には分かるんだ」
こうなるともう水掛け論だった。強い意志を持つ二人だからこそ、お互いを譲ることができない。
空は、内心ハラハラとその様子を見守っていたが、これ以上、仲たがいすることは危険だと判断して、険悪なムードの中に、空が割って入る。ここは敵地であるし、何よりまだピノッキモンは近くにいるのかもしれない。
そしてほぼ無意識に、一瞬、視界の端で栞をとらえた。先ほどから黙り込んでおり、怯えた表情をしているわけではなかったが、あの子は喧嘩を厭う。空はこれ以上心配事を増やしたくなかったのだ。
「ねえ…もうそのくらいでやめよう、ふたりとも」
「俺に言うなよ。ヤマトが突っかかってきてるだけなんだから」
太一は、明らかに拗ねている様子のヤマトと同じ扱いをされたことが気に食わなかったのか、あからさまに表情を歪め、踵を返した。
「俺はこんなやつ相手にしない」
「大人になったね、太一」
そのあとをアグモンが追うが。
「――ッそうはいかない!」
二人の前に跳躍したメタルガルルモンが立ちはだかる。太一は拳を握りしめ、振り返った。―一体何だって言うんだ!
その視線の先にいるヤマトは依然と己を睨み据えていた。
「しつこいぞ、ヤマト!」
「俺と戦え!!」
「だから嫌だって!分かんないやつだなぁ!」
「分からないのはお前たちだ!!」
普段はどちらかと言えば穏やかな性格をしているガブモンが、味方である筈の自分たちに敵意を向けて叫んだ。その声色に思わず驚いて、今度はガルルモンの方を振り返る。
その瞳の奥で、ゆらゆらと、蒼い炎が見えた。それは静かなる彼の闘志だと悟り、太一は思わずたじろいでしまった。
「…っ本気か?」
「太一、さがって!」
究極進化をしている相手に、成長期で相手をするわけにはいかない。たとえ戦うつもりはなくても、万が一のためにアグモンは覚悟を決めた。ガブモンがヤマトのためにあるように、彼だって太一のためにある。
再び高く跳躍したメタルガルルモンを視線で追いながら、アグモンは己の中で轟く太一の勇気を燃やした。
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