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「フフフッ!アハハハハハ!!」
愉快で愉快で仕方がない。大きな木の枝に座り込んで、じっと子供たちの様子を観察していたキノッピモンは盛大に腹を抱えて大爆笑していた。
「子供だなぁ、喧嘩しちゃってるよ!!アハハハハハッ!!」
ちょうど、ウォーグレイモンがメタルガルルモンにブレイブトルネードをお見舞いしているところで、よく見えるようにともう少し手前の枝に飛び乗った。
「やれ〜!やれ〜〜!もっとやれ〜〜〜!!」
ぴょんぴょんと條々を飛び跳ねながら、大きな歓声をあげた。ああ、楽しい。こんなに楽しいことはない。
「どっちも死んじゃえ〜〜!!!」
最終的に手を下すのは自分であるのもいいけれど、こうして仲間割れしている姿を見るのも滑稽だ。
自分に指図をしたジュレイモンは不愉快だったが、きっちり役目は果たしたから、少しは許してやることにしよう。まあ、許すも何も、もうあいつはこの世界にデータは残っていないけど。ぴょんぴょん、ぴょんぴょん。彼は至極楽しそうに跳ねまわっていた。
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デジモンたちの争いが苛烈になっていくのに比例し、二人の争いもますますヒートアップしていった。顔面を強く殴り合ったり、取っ組み合いの末に投げ飛ばしたり、見守る子供たちは殆ど泣きそうな顔をしていた。
「やめてよ、お兄ちゃん!喧嘩はよくないよ!!」
最愛の弟のタケルの声すら、ヤマトにはもう届いていなかった。
「お兄、ちゃん……」
愕然、と、ただ鬱憤を晴らすように拳をふるい続ける兄を見つめる。過保護と思えるほど傍にいて、守り続けてくれていた兄は、もう、自分の姿さえ、見えていないのだ。
――どうして、と、ひたすら、少女の思考はぐるぐる回り続けていた。心根の優しい純真の心は、もともと争うことを厭っていた。敵と戦うことすら嫌悪していたし恐怖していたというのに、どうして仲間同士でさえ戦うことをしなければいけないのか。
「もう……もういやっ!!!」
わっとあふれ出した思いは、まるで息を吐くように口から漏れ出した。思いが零れてしまった以上、止めることはできなかった。大粒の涙が顔面を覆う。両手で押さえても、次から次へと地面へとにじみ出ていく。ミミは、戦う二人から、背中を向けた。
「ミミちゃん…!?」同じように二人の戦いを険しい表情で見つめていた空が真っ先に彼女の変化に気づいた。
「戦って…戦って……それで何が得られるの!!?そういうのもういやぁぁぁっ!!」
「ミミちゃん……」
耐え切れず、漏れた少女の叫びは、何よりも優しい気持ちからきているものだったからこそ、何を言うこともできなかった。空はしゃがみ込んで泣きわめくミミに触れることさえ、ためらってしまうほどに。
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