(…守人が……栞が感じ取れるほどでしかなかった些細な気配……もしかしたら…それは)
バサリ、と大きな六枚の翼を羽ばたかせ、エンジェモンは強い眼差しでその方向を見つめた。
「何かが……調べてくる!」
そう言い残し、宙へと舞い上がるエンジェモン。不安そうに見送るタケルは、無意識に栞の傍へと寄った。応えるように、栞はタケルの手を握りしめる。
「エンジェモン…大丈夫かな…?」
「………」
何も言えなかったのは、大丈夫と言い切れる確証がなかったからで、ましてやもしかしたらそれがまたメタルシードラモンと同じような敵かもしれないと、言えなかったからだ。
チリ、と何かが目の端にうつった。
始め、それが何かは理解できなかった。だが危険物であることだけは、見てわかった。
「―っエンジェモン、前!!」
チリ、チリ。深い深い霧の奥から、小さな二つの光が見えた。小さな、光だと思ったのは、それが音速のスピードで近づいてきていたからだ。
「くっ!!」
気づいたら、その光は目の前までやってきていて、気付いたら、それはエネルギー弾のようなもので、気付いたらエンジェモンはそのエネルギー弾によって叩き落されていて。
「エンジェモン!!!」
まさか敵がいるとは、まさか攻撃されるとは想いもよらなかったタケルの悲痛な叫び声が濃霧に吸い込まれて消えていく。強烈なエネルギー弾を受けたエンジェモンはパタモンへと退化しながら音もなく落下する。彼は意識なくして地面に転がり落ちた。
タケルは栞から手を放し、一目散にパタモンが落下した地点へと走り寄る。
「パタモン!パタモン、しっかりして!!」
その声にようやく意識を取り戻した他の子供たちは、一瞬で事態を把握した。とりわけ太一とヤマトの覚醒は早く、彼らは叫ぶタケルの傍へと急ぐ。
「一体何が…」
「…くる…!!」
突然の攻撃にも戸惑いを隠せない丈のつぶやきを遮って、栞は再びキリリと表情を引き締めた。
―暗い、深い霧の向こう側で動く“何か”を子どもたちは発見した。あれはデジモンか?先のメタルシードラモンとの邂逅で力を消耗していたとはいえ、あのエンジェモンを一撃で伸した敵が目の前にいるのか。
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