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「このデジタマはなに?」
「分かりませんか?」


 タケルがじ、っと目の前のデジタマを見つめ問いかけると、彼女はゆっくり、悪戯っぽく微笑んだ。幼いヒカリにしては大人びた笑顔だったので、やはり中の存在は表面にも表れるのだ、と感じた。


「ひょっとして僕たち?」
「はい」
「どれがあたしかしら?」
「紋章のマークを見たら分かるよ!」

「これがあたしね?」
「おいらこれ!」


 無邪気にデジタマだったころの己を見るデジモンたちに微笑みかけ、一瞬、その表情がかげった。


「…しかし、私たちの計画はダークマスターズの知るところとなり、計画の妨害をはじめました」


 突然、物々しい雰囲気になり、扉が開かれデジモンたちが侵入してきた。驚いた子供たちは走って逃げたり、攻撃を当てようとするが、その行為は総てすり抜けていった。


「これも立体映像です」


 先ほど彼女は、過去の出来事、と言っていた。では、目の前で行われている惨劇は過去、実際に行われたことなのか。
 問答無用に敵のデジモンたちの攻撃が次から次へと繰り出され、一人、また一人と地に付していった。


「くそぉ…!!立体映像だからといってただ黙って見ていることしかできないのか!?」
「あいつはガードロモンです!」
「っまた新手がきたぞ!!」
「ぎゃー!!ピエモンだ!!!!くるなくるな!!あっち行けー!!!」
「大丈夫だってば」
「立体映像だって教わったじゃない」


 目の前のピエモンはデジタマが保管されているガラスケースをいとも簡単に破壊し、紋章を手に取った。道化の顔に、ゆったりと笑みが浮かんだ――その時だった。


「ピエモン!!!お前には渡さんぞ!!!」
「ゲンナイ…」


 かぶっていたフードが落ち、その顔が露わになる。それは一人の青年だった。もちろん子供たちには見覚えはなかったが、ピエモンがため息交じりに呟いたその名前はよく知るものだった。


「ゲンナイさんなの!?」


 子供たちは驚愕の声をあげる。そうか、過去の出来事といっていたっけと再三思い出し、今はしわくちゃの老人であるゲンナイとこの青年をなんとかイコールで結び付けた。
 若いゲンナイは勢いをつけてピエモンに斬りかかるも、ピエモンは軽く避け、ゲンナイの背後にまわった。隙だらけの背中に指をあて、黒い球を埋め込んだ。「うっ…!!」途端にゲンナイの顔は苦痛にゆがむ。それでも気力を振り絞り振り向きざまに斬りかかるも、またも避けられ、その背後からメカノリモンがあらわれた。攻撃があたる寸前でジャンプをしてメカノリモンに飛び乗り、操縦席に剣を突き立てると中にいたバケモンを追い払って自分がそこに乗り込んだ。
急いでデジタマとデジヴァイスをかき集めて鷲掴み、迫りくるガードロモンの攻撃を巧みに避けると天井を突き破り、辛くもその場から逃げ出した。


「追え!!紋章を奪うのだ!!」


「私たちも後を追いましょう!」


 再度、子供たちの体は浮かび上がった。逃げ去るゲンナイのあとを追いかける。
 追っ手は直ぐ傍まで迫っており、攻撃をよけながら逃げていたものの、次から次へと襲い来る攻撃に耐え切れず、デジタマとデジヴァイスを持っていた手が被弾した。その際、ひとつのデジタマとデジヴァイスが彼の手から零れ落ちた。

 彼女は即座に気づいた。――あれは。


「あれは、私。だから私は、一人だけみんなと逸れて育ったのか…」
「でも今は一緒よ」
「……そうだな」


 叩かれた、右肩がとても暖かかった。テイルモンはかすかに笑みをこぼす。仲間とは、なんて暖かいのだろう、と。

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