やぶさかデイズ

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D+S / mp100 / Minor
BIZARRE DREAM
弾丸論破サーチ

青色フラペチーノ

付き合って半年。
もちろんギアッチョといるときは幸せな時間を過ごさせてもらっているけれど、最近は悩みがある。
お互い口には出さないが、デートがマンネリ化しているのだ。

「だからお願い、助けてメローネ」
「おいおい、オレにデートの相談をしてるのか?オレの得意分野はデートの後なんだけど」

メローネに相談してもこんな返しなのは予想できたけれど、他に共通の知り合いがいないのだから仕方ない。
わざわざ彼をカフェに呼び出し、私がおごる約束までしておいてこのままでは終われない。
メローネは生クリームがたっぷり乗った、名前の覚えられない新作フラペチーノを大しておいしくもなさそうに飲んでいる。甘いものは特段好きではないが、新しいものが好きらしい。

「だって同僚なんでしょ?なにか知らないの、趣味とか……」

こんな怪しい男と同僚なんて、ギアッチョはなんの仕事をしているのだろう。
いつも「そのうち」とはぐらかされてばかりいて、勝手に「夜の仕事なのかも」と想像してしまう。ギアッチョには似合わないけれど。

「一応そうだけど。趣味ねえ……ネコとか?」
「たしかに猫は好きそう。けどデートだよ?」
「んー……あ。」

なにか閃いた様子のメローネに身を乗り出して問い質すと、彼はフラペチーノを飲み干して「スケートだ。」と言った。





「ねえギアッチョ。スケートいこうよ」
「あぁ?なんだ急に」

好きなんでしょ?としたり顔で言うと、ギアッチョは複雑な顔をして「嫌いじゃねえけどよ」と返した。
ソファにふんぞり返っていた体を起こし、テレビの電源を切る。どうやら一緒に行ってくれるようだ。
自分の支度をしながら「厚着しろよ」と言ってくれる優しさが嬉しい。

「スケートリンク、ちょっと遠いよね?」
「車出せってんだろ。待ってろ」

悪態をつきながら1人で外へ向かうのは、先にエンジンをかけて車を暖めておくためだと知っている。1人で乗る時は気にしないくせに、私が同乗するときはいつもこうしてくれる。
出会ったときはなんて粗暴な男なんだと思ったものだけど、いまはこの不器用な優しさが愛しい。
少し経つと玄関から呼びかけられ、一緒に車に乗り込んで「あったかいね、ありがとう」と言えば、彼の手が私の顔に伸びてきて視界を覆われてしまう。「なにがだよ」なんて言っているけれど、その顔はきっと照れているはずだ。





「……で?ド下手クソのくせになんでスケートなんて誘ったんだあ〜〜オメーはッ!!!!」

仁王立ちのギアッチョに上から叱られているのは、私がスケートリンクで尻餅をついているからだ。おしりが冷たい。

「ま、ままままさか自分がここまで下手だとは思わなくて……!!」
「大体何回コケてんだッ!!掴んでろっつってんのに離すしよ〜〜バカかクソッ!!!!」

相当気遣ってもらった上でこの惨状なのだから目も当てられない。平謝りするしかない。

「チッ……オラ、他いくぞ。」
「え、や、やめちゃうの?もうちょっと……」

呼び止めようとした声は、ギアッチョの睨みで消えた。眼鏡越しでこの迫力なら、裸眼で睨まれたら石化でもするんじゃないだろうか。
諦めて、壁と手すりにしがみついて立ちあがろうと試みる。

「ごめんね……ギアッチョがスケート好きだって聞いたから、楽しんで貰えるかと思って……」
「……お前が楽しめなきゃ意味ねーだろうが」
「…………へ?」

かすかに聞こえた声はギアッチョのものだろうか。あまりの素直さが信じられず、思わず聞き返すと「なんでもねえッ!!!」と返って来たので、やはり彼のものなのだろう。
立ち上がる動きを止めて見つめると、ため息が聞こえる。

「クソッ。……掴まれ、鍛え直してやる」
「! うん!がんばる!」

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2016- やぶさかデイズ