しまい損ねたこころ
「暑いし上着取りに行くか」
そう言って歩きだす堀ちゃんに大人しくついて行く。
相変わらず心臓はうるさいくらいに鳴っている。
「あ、上着忘れてきた」
そういえば荷物と一緒に上着も入れたような気がする。
「着るか?」と自分のを貸そうとしてくれる堀ちゃんは相変わらず男前で
でも堀ちゃんの上着なんて借りたら今度こそ心臓は爆発してしまう気がする。
さっき堀ちゃんに触れられたところがまた熱くなってきて、思わず「い、いいよいいよ!堀ちゃん暑いでしょ?」なんて言ってしまった。
はぁ…ほんとに千代ちゃんみたいに素直になりたい。
「疲れたなー」
「そうだねぇ ちょっと散歩でもする?それかどこか座ってゆっくりする?」
堀ちゃんと一緒にいたくて提案したけれど
また鹿島の所へ行ってしまわないように なんて 本心ではそんなことを考えている自分に嫌気がさす。
「散歩するか」
望んでいた答えに うん!と即答し、並んで歩きだす。
散歩なら2人でいられる と下心を持った誘いに堀ちゃんはきっと気付いてないんだろうな。
「あ、野崎と御子柴と千代ちゃんと結月…ともう1人の子誰だっけ」
「若松だな」
「あぁ、バスケ部の子か!あんまり面識ないんだよね」
「接点ないもんな」
「うん、みんな楽しそうだねぇ」
他愛もない話をしながら並んで歩くとさっきまでの嫉妬は嘘のように消えていった。
こんな穏やかな時間がずっと続けばいいのに。
当たり前に堀ちゃんの隣にいられる日がきますように と堀ちゃんの横顔を見ながら心の中で願ってみた。