慈愛の赤に吠える

「はい、ストップ」

私と彼の間に入るようにして
その人は彼の腕を掴んだ
こちらからじゃ顔は見えない

「女の子にそんなこと言っちゃダメでしょ
 ましてや自分の彼女に」

笑みを浮かべながら話していそうな声色で
ギリギリと音がしそうなほど強く掴んでいるのが
腕の赤さから伺える
「、いってぇ」

「この手、離してもらえる?」
黒髪の彼がそう言うと
ようやくわたしの手首が解放された


「…誰だよ」
「松川。俺は北川第一出身じゃないんだけど
 この子のお兄さんによくしてもらってて…」

今度はふわりと優しく手首を掴まれたかと思うと
さっきまで捕まれていたところを撫でられる

「この子… 名前のことも君と付き合う前から
 知ってるんだよね。」

フフッと優しそうな視線が落とされて気付く


『一静くん…』


「久しぶり、名前
 お兄さんから青城に来るって聞いて…
 待ってたよ」

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