触れたやわらかさ

予鈴がなり「じゃ、あたし戻るわ」と言って
席を立った友達を見送ると
「名前、次移動」と教科書を持った花巻が
ドアの前で待ってくれていた。

教科書や筆記用具を持つと貴大の隣に並んで歩く。

『あー 首が痛い』
「寝違えたとか?」
『じゃなくて みんなと話してるとずっと見上げてるから』
「あぁ… 名前の身長だとそれは仕方ないな」

女子の平均身長にギリギリ満たないわたしは
30cm近く離れたあの4人と話していると
自然と上を向くことになる。

『常に段差のある所で話すか…』
「いちいち移動すんの面倒くさいだろ」
『何か乗れる物を持ち歩く』
「例えば?」
『…バケツとか?』
「見る度笑いそうだからヤメテ」

というかバケツに乗るな と言いながら
わたしの頭を小突く貴大は
でも… と続ける。

「俺この身長差好きだけど」
『なんで?』
「名前の頭に顎乗せれる」
『言いながら乗ーせーるーなー』
「あとなんかこのすっぽり収まる感じとか」

そう言いながらわたしの肩に後ろから両腕を乗せて
ぶらんと前に出し 軽く抱きつかれているような体勢になる。

『あー、それはわたしも嫌じゃない』
このくらいのスキンシップはよくあることで
背中にぴたりとくっつく貴大になんだか安心する。
すると もうすぐ教室 というところで本鈴がなった。

あ、やばい と言いながら小走りで教室へと急いだ。

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