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「何か、用?」

声かけられ、はっと我に返る。

「あ、あの、私は、」

まさか、死にに来ましたなんて言えない。
返答に困ってあたふたとしていると、いつの間にか目の前に女子生徒が立っていた。

「私は神楽坂桜子。君は?」
「え、っと、佐藤陽菜です…」

いきなり名乗られ、私も咄嗟に名前を言ってしまった。
私の噂はきっと学校中に広まっているだろう。きっとこの人にも嫌な顔をされるのだろう…

「そうか、いい名前だな」
「えっ…」
「? だから、いい名前だと、」

嫌な顔をされるどころか、いい名前だと優しく微笑まれてしまった。

「あ、あの、私のこと知らないんですか?」
「知らんな、有名人か?」

私のこと、知らないんだ。
一気に緊張が解けたというか、安心してやっとまともに息ができたような気がした。
そう思ったのもつかの間、ずっと後ろで無言だった男子生徒が口を開いた。

「あれですよ、桜子さん。援助交際とかなんとかっていう」

男子生徒は私の噂を知っていた。

「ああ、あれか。あれはなぁ…」

ああ、今度こそ嫌な顔をされる。

「あんな噂、気にする必要は無いよ」

桜子さんは、それでも私に微笑みかけてくれた。