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──次に。
まるで動向の掴めぬのが工場破壊&侍救出チーム。
気分屋気まま、決められた事をその通りに実行する事などまず不可能なのが麦わら海賊団の船長、ルフィである。
ルフィの原動力は心から湧き出る想い。
彼は“こうしたい”と思う未来の為ならば、どんな困難ですらも打ち砕き勝ち取って来た。
信頼し重要な仕事を任せたローには申し訳ないが
ルフィがよく分かりもしない仕事を任されたところでそれを遂行する等まず無理な話。
観光に食事、作戦そっちの気でドレスローザの国を楽しむ一行。
更には刀を妖精に盗まれたゾロはそれを追いチームを離脱。
方向音痴であるゾロを追う錦えもんとサンジも続いて離脱。
全く作戦完遂の為に動く気配のないチームの動向に、流石に危機感を感じたのはフランキー。
彼は残ったルフィを連れ工場探しに動き出す。
しかし情報収集の為ファミリーの末端、下っぱの雑魚を締め上げ得た情報は
ルフィすらも作戦から離脱する類の内容。
何も知らないと泣き叫ぶ雑魚は、自分より立場のあるファミリーの居場所としてコロシアムの名を挙げる。
そこではファミリーの幹部たちが丁度“メラメラの実”をかけた剣闘会を行っていると。
兄の形見である悪魔の実。
どうしてもそれを手に入れるたいと、ルフィは“ルーシー”と名を変えコロシアムへ乗り込んだ。
この剣闘会には、メラメラの実の噂を聞き付けた各国の猛者達が
ドフラミンゴの思惑等知らず続々とエントリーしている。
そして自由過ぎるチームメイトに危機感を抱いていた筈のフランキーはというと
ちゃっかり観客席で歓声を上げながらルフィの戦いを観戦中。
どこが常識人だと突っ込みたくなる気持ちは飲み込もう。
なぜなら
──フランキーはこの客席で一人の剣闘士、レベッカという少女を見守りに来ていたおもちゃの兵隊と出会う。
彼こそがSMILE工場破壊及び現ドレスローザの国家転覆、そしてドフラミンゴ討伐に最も重要な情報を握る
キーマンなのだから。
ドフラミンゴに連行されたロー。
はたして彼は無事生きているのだろうか…?
その後の彼を覗く前にあと2つ、このドレスローザに関して補足しておこう。
まず、ドフラミンゴはどのようにしてドレスローザの王政を握ったのか。
それは遡ること10年前──
ドフラミンゴは“元”自分の王国であるドレスローザの王位を欲した。
しかし独裁政権ともなれば国盗りは容易でも、只でさえ海賊が治める国が更に悪目立ちする。
なにより国民達に反乱を起こされるのも面倒。
そこで男は考えた。
国民に歓迎される王位の奪い方を。
国民がリク王よりもドフラミンゴを選べば良い。
そんな事が出来れば苦労しない、と思うそれも
この男にとっては赤子の手を捻るよりも簡単なこと。
ある晩、ドフラミンゴはリク王に取引を持ちかけた。
自分は正統なドレスローザの王だ。
100億ベリーで国を売ってやる。
国民達にこの事は喋るな、と。
当時既に七武海であったドンキホーテファミリーではあるが、その悪名は高く
例え血筋がどうであれ大切な国民を預けようと思う相手ではなかった。
そして当時のドレスローザは決して豊かとは言えぬ国。
国の蓄えも国民の懐事情も、リク王本人が誰よりも知っている。
しかしやるしかないのだ。
リク王はその後すぐ、国民へ向けた映像でんでん虫の放送を行い金を貸してくれと土下座した。
理由も明かさず無茶を言う王に最初こそ戸惑う国民達であったが、リク王の国民達からの信頼は絶大。
皆次々と全財産を軍隊へ預けた。
しかし──
塵は積もれど100億ベリー等一晩で用意出来るものではない。
十分な現状証拠、既成事実が揃った段階でドフラミンゴの能力が牙を向く。
見えぬイトに操られたリク王及び兵士達は、武器を取り国民達に襲いかかる。
国民達は金を巻き上げられ、斬りかかられ、王は乱心かと驚愕した。
国民達を虐殺してまわりながらも、涙ながらに違うと訴えるリク王。
ドフラミンゴから持ちかけられた国の売買もその男の能力も
誰一人知る国民はいない。
国中が恐怖に震えた。
沢山の国民が死に、街は焼け、国民の頬を伝う涙は数知れず。
そこでなに食わぬ顔で混乱を収めたのがドンキホーテファミリー。
国民は略奪と虐殺を行う国王を討ってとった彼らを、“救世主”と崇めたてた。
たった一夜でドフラミンゴの手に落ちたドレスローザ。
本来であれば新王はリク一族を根絶やしにしたかった。
昨夜の王の乱心で国民達からの前王への信頼は崩壊したものの、万が一という事も有り得る。
念には念をというやつだ。
しかしドフラミンゴはリク王の娘である王女、ヴィオラの持つ“千里眼”の能力に目をつける。
当時二十歳にも満たない少女であったヴィオラは機転を利かせ、リク王を殺さないのであればファミリーに従うと条件を突きつけた。
そしてそれを受け入れたドフラミンゴの元で、彼女今もは“ヴァイオレット”と名を変え幹部として生ている。
彼女の千里眼に嘘は付けない。
きっとリク王もこのドレスローザのどこかで生きている事だろう。
そしてリク一族の直系血族はもう1人存在する。
それがコロシアムで剣闘会に参加しているレベッカ。
彼女はヴィオラの姉スカーレットと、おもちゃの兵隊の実の娘であった。
有益な能力を持たないスカーレットとレベッカ。
ヴィオラが何とか約束で守れたのはリク王本人のみ。
ファミリーはこの二人の始末にかかった。
母スカーレットはその毒牙にかかり命を落としたものの
おもちゃの兵隊へとその身を変えられた父によってレベッカは守られ、身を守る術を教わり、育てられ、ファミリー達からの逃亡を続けていた。
しかしその努力も虚しく今から数ヶ月前、レベッカはファミリーに見つかり、コロシアムで“殺戮者リク王の孫娘”という格好の晒し者として罵声を浴び続けていた。
今現在“メラメラの実”目当てで他国からもコロシアムへの出場希望者が絶えない状況ではあるが
通常、このコロシアムに出場させられる者はレベッカのように政権に従わぬ目障りな者達。
ここは娯楽施設に見せかけた監獄なのだ。
“100回勝ち抜いたら出してやる”
その言葉を信じ、出場者達は本気で殺し合う。
しかし本気の殺しあいで100回も五体満足で勝ち抜ける者などおらず、負けた者達は気づけばどこかへ消えている。
負けた者達はどこへ行くのか──
そしてレベッカの父、キュロスはなぜおもちゃの兵隊となったのか──
それが補足の二つ目にあたる。
ドンキホーテファミリーの幹部には、シュガーという見た目は幼い少女がいる。
彼女は“ホビホビの実”の能力者。
触れた者をおもちゃに変えてしまう。
そしておもちゃにされた者は他の人間の記憶から消滅する。
おもちゃにされるのは、反乱分子としてコロシアムに出場させられている者で
尚且つ娯楽としても価値のなくなった敗北者達。
通常彼女はおもちゃにした人間に契約を与える。
1つ、ファミリーには逆らわない
2つ、人間に危害を加えない
これがこの国に溢れている、話して動くおもちゃの正体。
反乱分子を無害な働き蟻に作り替える事ができる。
そして家族にすら存在を忘れられてしまうこのシステムは、反乱の連鎖が起きようがない。
しかしシュガーはこの国で最初におもちゃにした人間と契約を交わし忘れた。
それが、おもちゃの兵隊となったキュロス。
国民やレベッカに忘れられ、人間であった頃よりも格段に戦闘能力は落ちたものの
彼はドフラミンゴの悪行の全てを知り、尚且つ契約に縛られていない唯一のおもちゃ。
この国がある者にとっては虚像の上に栄えた国という意味が大体理解出来た所で、トンタッタ族が計画している国家転覆作戦をお伝えしておこう。
シュガーの“ホビホビの実”はとても有能に見えて弱点がある。
それは術者が意識を失うと、能力が解けてしまうこと。
この国に溢れるおもちゃの数だけ、蓋をされた反乱の意志は眠っている。
彼らがおもちゃから戻り、それを叫ぶ数が増えれば
国家転覆も夢ではない。
ウソップとロビン、トンタッタ族はシュガーの意識を奪うための作戦に移り
フランキーはSMILE工場へ正面から乗り込む。
そしてルフィはコロシアムを出て王宮へと乗り込もうとしていた。
そろそろこの物語のヒーローであるローの生死を確認したいところだが
お話の本筋からは少し逸れるものの最後にもう1つだけ。
剣闘会は未だ行われているというのに、なぜルフィがコロシアムの外に出ているのか。
ルフィの戦闘の腕は折り紙付き。
勿論敗退等せず順調に勝ち上がっていた。
しかし決勝前、ドフラミンゴに撃たれるローを目撃し
メラメラの実も誰にも譲りたくないもののコロシアムどころではない状況にルフィは葛藤していた。
しかしそんな彼の前に現れたのは、メラメラの実を譲っても良いと思える唯一の人物であった。
ルフィとエースにはもう1人の兄弟がいる。
その昔、彼らがまだ幼い頃
貴族の息子であったサボは家族に連れ戻され、ルフィとエースとは引き離された。
サボは国が、その国で貴族としての生きる事が嫌いだった。
臭いものには蓋をする
目障りなものは一掃する
貧富の差も激しいその国で、見せかけの優雅な暮らしを送らされる。
発言力も力もない子供には、虚像の奥の真実に気付きながらもそこで生活するしか道はない。
サボにはそれが耐えられなかった。
エース達と貯めていた海賊貯金はまだ目標には届かないものの、サボは一足先に海賊としての旗揚げを決意した。
このまま貴族として幽閉され生活するよりはマシだと。
しかし運悪く、出航に選んだのは昔その国を納めていた天竜人が来航する日。
天竜人の存在も知らずその船の前を横切ってしまったサボは、彼らに銃で撃たれ死んだと思われていた。
しかし瀕死の所を革命軍という組織に助けられ、サボは記憶喪失のまま成長する。
そして2年前、エースの死を伝える報道で彼は
全てを思い出した。
長すぎる記憶なき年月を過ごしはすれど
過ぎた事を悔やむ気持ちはあれど
今サボに出来る事、それは──あの頂上決戦ですらも生き延びたルフィに会いに行くこと。
しかしエースの死後、ルフィの行方は知れず。
丁度武器密輸の根城であると踏み訪れていたドレスローザ、そこで行われていた剣闘会の商品が
今は亡き兄弟の形見である“メラメラの実”。
そして名は違えど、そこに出場してはいる目を引く期待の新星は
兄ならば間違える筈もない──弟であるルフィだった。
再会を果たした二人の兄弟。
サボならば、メラメラの実を食べてもな何の不満もない。
そして自分の代わりを任せ剣闘会に出場しても無事賞品を勝ち取るだろう。
ならばルフィが取る行動は決まった。
自分の代わりとしてコロシアムをサボに任せたルフィは
瀕死の同盟相手、いや友達であるローが連れ去られた王宮へと向かう。
ドレスローザの戦いはここに来てやっと本格的に動き出す。
それぞれがそれぞれの役目を果たし、目的を達してこの国を出る日は来るのだろうか。
そして満身創痍の体に鉛弾を何発も食らったローは今、果たして無事なのだろうか…?