17-31




「初めまして。私はナミ。この船の航海士よ」
「わー…こちらもまた…すんごい綺麗ー…」


テーブルで紅茶とスイーツを楽しんでたオレンジ髪のお姉さん。
こちらは快活そうな美人さんだ。

でも顔立ちは可愛い系なのかな?


「…なにこの差別。ボンキュッボン過ぎて眩し過ぎる…」


ダメだ。
おっぱいが大きすぎて、そこから腰にかけての括れが見事過ぎて…

美し分類すると全部美人に寄っていく…!!


っていうか羨ましい!
羨まし過ぎる…!!


私だって一応初対面の人の前ではあんまり変な事しないようにって気をつけてる。

気をつけてるけど


この胸と腰は反則だ…!!!


うっかりヨダレが垂れそうになるのに気付かないくらい、そのナイスバディを凝視してしまった。


柔らかそう。
揉みたい掴みたい埋まりた──


「あら。触っても良いのよ?」
「え!!?」


魅惑の言葉に、我ながらアホみたいな顔で反応してしまった。


「私たち女同士じゃない。遠慮なくどうぞ。その代わり私あなたのシード──
「自己紹介がまだだったわね、私はロビン。船では特に──何もしてなかったわ、ふふっ。考古学者をしてるわ」
「あ!私も!!ロレイシル・ウイです。メインはお酒、かな?ブラーヴェってとこで色々作ったり売ったりしてます」





あんな大きなメロンおっぱいを鷲掴みにさせて貰えるチャンスだったのに
タイミング悪く麦わら一味の皆が自己紹介してくれて、その夢は叶わず散った。


良いもん。
アンさんも中々のナイスバディだ。
仲良くなった記念に揉ませて貰おう。






…すんごい嫌がられそうだけどいいや。







ルフィくんの仲間達は何て言うか個性的で。
ハートの海賊団よりも人数は少ないのに、それを感じさせないなにかがあった。


いや…でも皆も負けてないか。


流血してる事に気付いてるのか怪しい程ナミさんにメロメロしてる人はコックさんだったらしくて
喋って動く骸骨さんは音楽家みたい。

サイボーグの船大工さんに、鼻の長い狙撃手さん。







狙撃手さんの鼻、骨の構造どうなってるんだろうって
それが一番気になった。







「あとはゾロっていう筋肉が外で筋トレしてるのと…あら?チョッパーは??」
「チョッパーならモモんとこ行ったぞ!」


ゾロさんっていう筋肉とチョッパーさんでルフィくんのお仲間さんは全員らしい。
何人お酒飲むのかわかんないけど、それなら全然足りそうだ。


「あの。少しなんですけどこれ、よろしければ皆さんで──
「あらそんな気を遣わなくて良かったのに!ありがとう!!」


ぎゅっと両手を掴まれて、至近距離で見る可愛い顔に胸がときめく。


このノリでおっぱいも…


「ちょっとあんた達!そこのお酒全部私たちの部屋に運んでちょうだい!」
「独り占めですか…ヨホホ…私は良いんですけどね…ヨホホホホ」
「がめつい女だ全く」


揉ませて貰おうと思ったのに、それはさらりと躱されてしまった。


くそ…!


「なんだ騒がし…トラ男!良いところに!!ちょっと来てモモ診てくれ!」
「…!!!」


顔には出さないように気をつけつつ悔しさを噛み締めてたら、ひとりでに開いた扉の影からひょっこり顔をだしたつぶらな瞳のマスコット。

てけてけ歩いてはローのデニムの裾を引っ張ってどこかへ連れていこうとするその姿が
可愛すぎて息を飲んだ。


「あのガキがどうした」
「昨日から頭が痛いってずっと泣いてるんだ!熱もないしどこも悪いとこも見当たらない。トラ男の能力でちょっと診てやってくれよ!!」


可愛さについうっとり惚けてしまってたけど、どうやら病人がいるらしい。
そして話の流れと聴診器を首から下げてるとこを見ると
あの帽子を被った可愛すぎるトナカイちゃんはお医者さんなんだろうか。


「ウイ、先に戻ってろ。俺もすぐ戻る」
「え、待ってるよ?」
「良いから戻ってろ」


は?
何で?









謎に帰れと言われたまま、ローは理由も話さず扉の先に消えて行ってしまった。


「モモ大丈夫かしら。ごめんなさいね、ちょっと立て込んでて紹介し忘れちゃったけど。さっきのがチョッパー。うちの船医よ」
「やっぱりお医者さんなんだ!可愛かったぁ…」


モコモコしてててけてけしてて…
モコモコならベポだって負けないけど、あれは反則だ。


可愛すぎる!!








「なんなんだろ、戻ってろって。あ!何か私がいたらまずい事…あったりします?」
「そんな訳は1ミリもないさ!さぁウイちゃん…!どうぞ座って。コーヒーと紅茶なら──
「焼き餅かしら」
「でしょうね」


ん…?


どういう事だろうって、ロビンさんとナミさんに目を向ける。


正直、ナミさんが食べてたこの見るからにふわんふわんなパンケーキ。
添えられたアイスにはバニラビーンズが散ってて、溶け具合は濃厚そうだしバニラの香りがとんでもない事が伺える。


かかってる黄金色のシロップはメープルかな…蜂蜜だとしてもあの色ってどんな味なんだろう…。










食べたい。
食べた過ぎる。

これを逃したら一生後悔しそう。












「サンジくんに近付けたくないんでしょ?トラ男くん」
「予想はしていたけど…本当に独占欲強いのね」












二人が話してる事を理解するまでに時間がかかった。
まだ慣れてないせいかもしれないけど、そっか。

サンジさんがあんなに血まみれになってるのって
ロー、焼き餅妬いてくれたんだ。


なんだか恥ずかしくなってきて両手で顔を覆う。


そっかそっか。
気をつけなきゃ。

私はもうローの恋人なんだから。
こう…身持ちを固くすべきだよね!


「ふーん…ねぇ、トラ男くんウイの前ではどんななの?」
「あのまんまなのかしら。それとも甘えたりとかしちゃうのかしら」



















ニヤリと微笑む2つの美しい顔に、恐れおののいた。








これはあれだ。
さっき嫌って程味わったやつ。


「あの…!また!来ます!!戻ってろって!言われたので帰ります!」
「なんだよウイ、ババ抜きやんねぇのか??」


ルフィくんにまた今度って返事をして、急いで甲板へ続くドアを押し開けた。











本当に、無理。

ちゃんと何て言われたら何て返すかシュミレーションしとかないと…
一々アレを思い返してたら身が持たない。


パンケーキは今考えても惜しいけど、ローの言葉に救われた。







どれくらい経ったのかな。


どうせフリーウィングに戻っても一人だし、ポーラータングの中に入っちゃえばまた冷やかしの嵐だ。


誰も甲板に出てきてないことにほっとしつつ、黄色い潜水艦の船縁でローが出てくるのを待ってた。









「何かあれば呼べ」
「おう!ありがとなトラ男!!」









穏やかな波が太陽に反射するのをただ眺めてたら、思ってた以上に早くローが出てきた。


「ロー!」
「なんだここに居たのか」


ルフィくん達の船へ移動する為の渡し板。
そこを渡ってローの元へと駆け寄る。


「お??ナミ達が言ってたトラ男の彼女っておまえか!俺はトニー・トニー・チョッパー!!麦わら海賊団の船医だ!!」
「…!!」













…彼女。

彼女か。
そっか…。

私今、ローの彼女なのか。


嬉しいような恥ずかしいようなその名称にまた恥ずかしさが込み上げて来たけど
もじもじしまくってる私にきょとんって首を傾げるこの子は…可愛過ぎる!!!


「はじめまして!私はウイ!可愛いねぇ…!それにお医者さんなんでしょう?凄いねぇ…!」
「そ、そんな事ないぞ!!医者だけど…!!それは間違いねぇけど…!!凄くなんてねぇぞ〜!!」













ぐはぁっ!!













鼻血吹き出すかと思った。
何この中身まで可愛い生き物!!


「可愛いよ!!凄いよ!!もう…連れて帰っちゃいたいよ!!」
「可愛くなんて…ねぇぞ〜!!俺!ちゃんと戦えるぞ!!ほら!変幻自在に体を変えれるんだ!!ちゃんと強いぞ!!」


チョッパーは腕の筋肉ムキムキバージョンに姿を変えたかと思えば、大人のトナカイっぽく姿を変えてみたり…

もじもじうねうねしながらそれを見せてくれるのがもう…愛らしくて堪らない!!


「凄いねぇ…!ねぇ、乗ってみたい!乗っても平気?」
「しょうがねぇなぁ!特別だぞ!こんにゃろう!!」


背中に乗せてくれるっていうチョッパーのお言葉に甘えて、そのもこもこな体に触れてみた。


「柔らかいねぇ…!気持ち良い!!」
「そんな事…ねぇんだぞ〜!!」


分かりやすく照れながら喜んでるとこも可愛い過ぎる!


世の中にはこんなに可愛い生き物が存在する事を、初めて知った。







「あれ?キャプテンお帰りー。良いの?ウイとラブラブしてなくて」


ポーラータングのリビングの扉を開ければ、クルー達が各々寛いでいた。
俺に気づいたベポがニヤニヤしながらそんな声をかけてくる。


「あいつならトニー屋とバカみてぇにはしゃいでる。放っておけ」
「トニー屋…チョッパー?」


あのザマを見て思い出した。
そういえばあいつは俺らと初めて会った時、何よりもまずベポに目を輝かせた。


「あぁ」
「は?どういうこと??」


一時はウイの心を鷲掴みにしたベポも、今では慣れたもんだ。
別の意味で特段つるむようにはなったようだが、今やウイはベポの容姿に頬を緩ませる事もない。


「知りたきゃ見てこい。麦わら屋の船の甲板で、煩ぇくらい騒いでる」












麦わら屋のとこへ行きてぇと言ってた。
だから連れて行った。

それを終えればしなきゃなんねぇ事もなくなる。


昨晩、ずっと待ち焦がれていたウイをこの腕に抱いたとしても
正直足りない。


戻ったらその続きを楽しもうと思っていた。













がしかし、結果はこれだ。












楽しそうにはしゃいでるウイを見てんのは、悪い気はしねぇ。
だがしかし、もっと良いものを見れる筈だった。


かと言って無理矢理トニー屋から引き剥がすのも大人気がない気がして、その内気が済むだろうと眺めていてもそれは一向に終わらない。


調子に乗ったトニー屋が姿形を変える度にウイは大喜びして、それに気を良くしたトニー屋が自慢気にまたウイの気を引く。


一人苛ついてる自分がくそだせぇ気がして、頭を冷やしにこっちへ戻って来た。


「チョッパー…え?どういうこと?…俺ちょっと見てくる」


恐らくベポも、ウイの心を鷲掴みにしそうな要素に思い当たる節があんだろう。

見るからに対抗心を剥き出しにした白熊がリビングを出ていくのを、げんなりしながら見送った。





きっと恐らく
トニー屋の次はあいつだ。







destruct at reality.