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横に編み下ろされた三つ編みにも一緒にお花が編み込まれてて
胸元にも、スカートの部分にも、お花が沢山センス良く飾られてた。


今まで見たことのあるどんなドレスよりも素敵で、素敵過ぎて
それを今身に付けてるのは自分だって事が信じられないくらい嬉しい。


「ウイのドレスに使うからって選んで貰ったんだけど、あんたこれ見れたら他の何貰うより幸せでしょ」
「…世話、かけたな」


ぶっきらぼうにボソッと呟くローのこの様子を、きっと皆も照れ隠しだって気付いたと思う。

でも確かにそうだ。
私達2人の結婚のお祝いなのに、これは事実上私が一人占めしてしまってる。


けど見おろしてくるローの目は確かにどこか嬉しそうで
カレンが言ってくれた事もあながち嘘じゃないのかもって、そう思えた。


「皆に、それぞれ選んだお花とその花言葉を書いて貰ったの。後でゆっくり目を通してね」
「ありがとう…!あの、私本当に!知らなくて!!ビックリして…、あの…本当に嬉しい、凄く。皆ありがとう!」


カレンからちっちゃな本みたいなのを受け取って、ただ感動に浸ってるだけじゃダメだって
上手い事なんて全然言えなかったけど皆に向けて頭を下げた。


似合ってるって、可愛いって、綺麗って。


ヤジみたいなノリでそんな言葉が沢山返って来たんだけどね
手を叩きながら私達を見つめるその顔はどれも本当に温かくて、それが何よりも嬉し過ぎて
そんな気持ちがまた涙腺をボコボコに沸騰させて来た。







泣かないぞって上を向いて必死で瞬きして
ラウンドが済んでしまったテーブルでは写真撮影だけだったけどまた回らせて貰って。
シャッターが切られるまでの短い時間、どの花を選んだかって教えてくれる皆の言葉がまた嬉しかった。










「きゃー♡可愛い可愛い!やっと来たーぁ♡」
「ちょっと!!ウイ!あ、結婚おめでとう似合ってる可愛い!!っていうかペンギンいつの間にあの司会の子と付き合ったの!!?」


残り半分のまだ話せていない席の始まりは、既に時間が足りない事確定な予感しかしなかった。





そこでも最初にテーブルの皆と写真撮影をした。


ここステラさんとあゆみちゃん以外はブラーヴェの従業員の女の子達なんだけど
そこは既に元からの仲良しグループってくらい和気藹々としてたの。


「良かったわね、ウイに捨てられなくて!ウイの目が覚めちゃってたら絶対あんた振られてたわよ」
「聞いたわよー♡あの後も凄い三角関係だったんでしょう??ドラマチックねぇ」


主に目立ってるのはやっぱりこの2人だ。


ローはあゆみちゃんに凄い嫌そうな視線を送ってるし、ステラさんの勢いにも片鼻をひくつかせてた。


「ありがとうございます!…ステラさんこそ結婚したって!!そう!結婚したんだってステラさん!お子さんも居るんだって!!ローもおめでとう言って!!」
「…血迷ったか」
「やだありがとう♡もう、私だって歳を重ねて落ち着いたのよ?」


今は海賊船には乗ってなくて、新世界の島で旦那さんとお子さんと3人で暮らしてるんだって。


っていうか旦那さん、まず海賊じゃないらしい。
しかも出会った時この魅力的過ぎるステラさんのお誘いを断って、なんならお説教までしたらしい。


「あの時私衝撃受けたのよ。あ、この人は他の人とは違うって♡」


幸せそうに話してくれるステラさんは、近くに来たら遊びに来てってビブルカードをくれた。


またゆっくり会いたいなって、思うのよ。

でもね
何よりこのステラさんの魅力に屈しない旦那様を一目見てみたいと思った。

あと娘さんも。
ステラさんのお子さんなら絶対お人形さんみたいに可愛い。
着せ替え人形にしたい。


絶対行こうねってローに言ったら、凄い嫌そうな顔された。


でも行くもん。
ローも絶対、何だかんだで付き合ってくれると思う。


「ちょっと!ウイ!それで!ペンギン!!」
「ごめんごめん!カレンとペンギンは付き合ってないと思うよ?いつもあの2人あんな感じ…だよね?」


必死過ぎるあゆみちゃんにローが無言で頷いてくれて
でもそれはそれで羨ましいってあゆみちゃんが悶えて。


あゆみちゃんは今もあの時と変わらずにペンギンを好きで居るんだって思ったら
もう私の事は吹っ切ったらしい大切な人にこんなに想いを寄せてくれてる人がいるって思ったら
なんだか凄く嬉しくなった。




あゆみちゃん、私本当に好きなんだよね。
一晩一緒に飲んだだけなんだけど、それだけで大好きって思っちゃうようなインパクトがある。


もしあゆみちゃんとペンギンがそういう仲になって
あゆみちゃんもポーラータングで一緒に旅をして
きっと相変わらずローにあゆみちゃんは突っ掛かって行って、それをローは面倒臭そうにあしらって…


そんな想像してみたら楽しそうだなって。
ステラさんが住んでる島とかに行って皆でバーベキューとかしたらもっと楽しそうだなって
そんなわくわくな妄想が止まらなかった。


そしてやっぱり話の途中で時間は来てしまった。






次のテーブルは
シュウの家族と父様とブラーヴェの年配組。

ユウとリュウが選んでくれた花を教えてくれながら写真を撮って、雑談タイムへ突入だ。


「結婚もおめでたいんだけど、ウイちゃんには感謝しかないわ!シュウのこと…本当にありがとうね」
「こちらこそありがとうです!シュウ本当に凄い頑張ってくれてて!シュウがいなければ今のブラーヴェはないくらいなんです本当に!!」


おば様はお世辞でも嬉しいって言ってるけど
本当に、シュウがいなければブラーヴェはこんなに大きくなってないと思う。


シードルの生産はきっと、私一人じゃ間に合わなかった。
私があんなに好き勝手休ませて貰えたのも、今こうしてローと結婚出来てブラーヴェから離れて問題ないのも全部、シュウのおかげだ。


本当に懐かしい。
あの時はまだ、ロー達と出会ったばかりだった。






ユウとリュウにじゃれつかれてるローは相変わらず子供相手でも愛想の一つもなくて。
でもそれが、冷たいとかじゃなくて。
分かりにくいそれもちゃんと二人はわかってくれてて。

まだ二人とも子供だけどあの頃とは違う。
ユウもリュウも大きくなった。

そんな二人は今でも昔みたいに全くローに怖じ気付いたりとかしてなくて。
ユウなんて、本当はシュウと私が結婚して一緒に暮らせる筈だったのにってローに文句まで言ってた。

可愛らしいお小言は、許してあげるからちゃんと遊びに来てねって締め括られて
ステラさんのとこに誘われた時には嫌な顔全開だったローが、今度なってユウの頭をポンと叩いた。


私、ユウ達と一緒に居る時のローが
結構堪らなく好きなんだけどどうしよう。








父様とは、結局一言も会話を交わさなかった。


ちらっと顔を覗いたら、式の時と変わらずにニコニコしてて。
見られてる気がしてなんだかそっちを向けなかったんだけど
皆に祝福されて再会を喜んで、喜んで貰えてっていう状況を父様が見てくれてるのがなんだか変な心地だった。


私学校って行ったことがないけど、参観日って言うのがあるんでしょう?
親が学校に来て、普段の学校での様子を見て貰うイベント。


今の私はきっと、参観日で親に良いところを見せたい子供とおんなじだ。

ずっとフリーウィングに母様は居てくれたけど、私それ知らなかったから。
親のいない世界での自分を見せるっていう経験を、今初めてしてる。


それはちょっと照れ臭くて、でも見せびらかしたくて
そんな不思議な気分だった。











そのテーブルも、続く他のテーブルもやっぱりどこも時間はあっという間に過ぎてしまって。
楽しいから早く感じるだけじゃなく、皆からのプレゼントがあったから本当に短く設定され直したんだろうなって今は思う。


沢山話したかったけど、それが短くなっちゃったけど
でもこのドレスは、お花は
それ以上の嬉しさを私にもたらしてくれた。


最後のテーブルから壇上に戻る途中、ベガス聖がはらこ飯を凄く絶賛してくれたの。
お醤油とお出汁で煮た鮭とイクラを、煮汁で炊いたご飯に盛り付けたワノクニのお料理。

シェフの拘りで彩りと味のアクセントに散らした大葉がまた堪らなくて、私も味見で食べさせて貰った時三杯おかわりした。

生鮭大好きなベポも今度鮭捕って来るからこれ作って!って鼻息荒めに喜んでたくらい。





そんなこんなで皆のテーブルにはあの魅惑のウェディングケーキが配膳され出して、これも美味しいよって思いながら集まってくれた皆を眺めてる時間は幸せなひとときだった。


「さて、これよりちょっとしたゲームを開催します!名付けて!二人の馴れ初めクイズ!!三択になってますので、正解だと思うものをグーチョキパーで教えて下さい!」


あんた達は座ってなさいよってカレンに言われて、私たちは披露宴が始まってからずっとオブジェでしかなかった白いソファーに腰をおろす。


さて。
何人残るんだろ。


楽しみ。




「不正解だった方は着席頂いて美味しいケーキをお召し上がり下さい!最後まで残られた方には!なんと!!な、なんと!!世界一のグルメと名高いベガス聖厳選の美味しいもの詰め合わせをプレゼントしちゃいます!!」
「皆頑張るんだえー!!」


これまでと違った沸き立ち方をする会場につい笑ってしまった。


そりゃそうだ。
ベガス聖の舌を唸らせる極上グルメのプレゼント。
絶対この機会を逃したら一生食べられないやつ。


穏やかだった皆の目が若干血走った気がするのは気のせいじゃないだろう。


「では皆さんご起立頂きまして、…どれから行こうかな。──では第一問!!二人の出会いについてです!!


(グー)トーストを加えたウイがローにぶつかった。ウイのパンツは白だった。

(チョキ)ロー達がウイの船を盗もうとした。

(パー)海賊に襲われてたウイをロー達が助けた。


これは簡単かな?さて!!シンキングターイム!!」


ノリノリのカレンと引き換えに、皆がざわつき出す。


…簡単じゃないでしょ、これ。


ハートの海賊団の皆は答えを知ってるけど、それを教えてあげるなんて敵を増やす真似はしないらしい。


そんな皆のちょっと得意気なすました顔が可笑しかった。


「そろそろ宜しいでしょうか!あ、ウイ座ったままで良いから正解出してね!いきますよー!じゃーんけーんぽん!!」


グーとチョキとパーが綺麗に割れた。
いや、パーが多い。

一番マトモなやつなのに残念。
正解はそれじゃないんだ。


私が出したチョキを見て、マジで?って顔で悔しそうに座る脱落者達には、美味しいケーキが待ってるからそれでご勘弁頂こう。


「大分減りましたね!外れた方も賞品はないですが一緒に楽しんで下さい!続きまして第二問!!二人が──」


商品が素敵過ぎるせいか、このクイズは異常なまでの盛り上がりを見せた。


私達が出会って何年経ったか
プロポーズの場所はどこか
結婚指輪の内側に刻まれた文字は何か
私達が初めてのデートで食べたものは何か


正解じゃない選択肢がカレンのせいでふざけた事になってるけど
ハートの海賊団に劇的に有利過ぎるこのゲームも、どんどんマニアックになっていく問題のせいで
残ってる人達の所属はバラバラになっていった。





destruct at reality.