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ベポ、ロビンさん、アリスちゃん、あゆみちゃんにロイ。


最後は私とじゃんけん対決だった筈なんだけど、ベガス聖が残った全員にやるえ!って言い出して
更には脱落者達にも旨い菓子送っとくえ!って大盤振る舞いしてくれて。


勝者は特に喜んでたけど、皆ベガス聖のお心遣いに狂喜乱舞してた。


盛り上がってくれたのも、ローと私の事をちょっとだけど知って貰えたのも嬉しかったんだけど
次はアレだ。


ふんって気合いを入れて背筋を伸ばす。


「勝ち残った皆さん、おめでとうございます!お裾分けお待ちしてますね!…さて、楽しい時間はあっという間ですね。それではここで新婦より皆様へご挨拶がございます」


ドレスって立ち上がりにくくて、一緒に立ってくれるローが手を貸してくれた。
白い封筒にいれておいた皆への手紙を取り出しながら、ちょっと迷ってる事を考えた。


「本日はご多用の中──…やめよっか、堅苦しいのは。ちょっとカンニングしながらになっちゃうけど、準備しておいた言葉よりも今思ってる気持ちの方が上を行く気がするから…纏まりないかもしれないけど聞いて下さい」


沢山考えて準備したけど
やっぱり私もカレンみたいに、今思うこの気持ちを伝えたい。


ちゃんと出来るか心配だけど、影響されてしまったんだ。
それほどに、カレンの進行は皆の心をがっしり掴んでたから。


「お忙しい中、凄く遠くからの方も沢山いるのに、今日は私たち二人の結婚式に来てくれてありがとう。このドレスも、お花も、本当にありがとう。自分で言うのもアレだけど…凄い綺麗でしょ?」


ちょっと恥ずかしいけど、今日くらいは自惚れも自画自賛も許して貰えそうな気がしたの。

うんうん頷いてくれる皆が、上手く話せるか心配だった私の緊張を溶かしてくれた。


「見た目も綺麗なんだけどね、これが皆の気持ちって思うと更に嬉しくて。びっくりして…さっきは泣いちゃうところでした」


良かった。
お手紙読むだけにしなくて。


こんな素敵なプレゼントへの御礼の気持ちを伝えられなかったら、私絶対後悔したと思うから。






「私達が出会って、もう6年になります。結婚もだけど、恋人同士になるまでも色々あって…私とローの間だけじゃなく、これまで色んな人達と、色んな事がありました」


ローと出会ってもう6年。
私は今22歳だから、長いようにも感じるけどそれは半分にも満たない。

でも、その人生の半分以下の間に
物凄く沢山の人と出会って、沢山の経験をした。


「来てくれた皆との出会いやこれまで。ここにはいないけど居て欲しかった人とも、楽しい事も沢山あったけど、それだけじゃない事もあって」


母様、コラさん、パパ、マルコに白ひげ海賊団の皆、シャンクスさん。
それにエース。

この結婚式に出席して欲しかった人。


ここに居る皆とも色々あった。
ありすぎた。

けど、それだけじゃない。


「今日こうしてローと結婚出来て、それをこんなにも祝って貰えて。…本当に幸せだなって思うのと同時に──無駄な事なんて、なくても良かった事なんて1つもなかったなって思いました」


出会って関わってくれた人達は皆、私に何らかの影響を与えた。
それが今の私をつくった。


「誰か一人でも、出会う事がなかったなら…今の私もローも存在しなくて。実際沢山助けて貰いました。でもそれだけじゃなくて」


きっとそれはローも同じ。
芯が強くて揺るがない人だけど、絶対何かしらを貰ってる。


「皆とのこれまでの1つ1つの会話や、出来事が…私達を成長させてくれたから今の幸せがあるって。今日皆と話せて改めて思いました」


私絶対、6年前より人間味のある人になれたと思う。

それまでの私は一人で航海して、ただ生きていくのに困らないように物を作っては売って
そこで出会う人達とその場だけの関係しか築かなくて。


継続的に、何かを一緒に頑張る仲間とか大きな物を乗り越えて来た同志って
深く関われなかった道行く沢山の人達とは訳が違う。

ただすれ違った誰かが何に悩んでいようと、どんな素敵な人だろうと
私はそれをわからない。


皆だから、考えた。
簡単に切って捨てられはしない大事な人だから、言われた言葉に重みを感じて
それを受け止めようと思った。


そうやって、今まで生きてきた。







「こんな事なければ良かったのにって、思うこともありました。なんでどうしてって、辛くて苦しい事もありました」


これは──
ここに集ってくれた皆の中で、ただ一人に向けた言葉。


「でもそれがあったから…今の私がいる。そんな私を、ローも皆も、好きになってくれた。だからそこは、…そこだけは…」


楽しい思い出ばかりを共有した人達が大勢居るなかで、こんな話をするのはもしかしたら間違ってるかもしれない。


でも
例え殆どの人に当てはまらない事でも、どんなにその相手が酷くて情けない人間でも

悔しいけど、───やっぱり、大事な人なんだ。


沢山傷付けられた。
沢山悩んだ。
そのせいで上手くいかなくて、打ちひしがれる事が何度もあった。


でももしそれがなければ、今の私は居なかった。


母様の事を思うと、これを言ってしまって良いのかをまだ悩んでる。
でもあの事件がなければ、ローとも皆とも出会えなかった。
何の苦労も傷もなくのうのうと生きてたら、ローはそんな私を好きになってくれなかったかもしれない。







私は、凄くも綺麗でも立派でもない。

哀れで可哀想な人だったかもしれない。
学ばないし面倒臭いし、決して付き合いやすい出来た人間じゃなかった。


でも
人生に必死で食らいついて、生きて来た。


間違ってたかもしれない。
沢山の人を傷付けて困らせて来たかもしれない。


でも、そこで得たものは
こんな素敵な人に、人達に好かれる人間を作り上げてくれた。


だから、そこだけは
そこだけは本当に


「──ありが、とう」


涙は堪えても、鼻水まではおさえきれなくて。
グスグス言いながら絞り出した言葉を、大きな手が包み込んでくれた。


それをぎゅっと握りしめながら、私はこの仕事をやり遂げる。


「そんな皆に貰ったものをいつも心に留めて、幸せな家庭を築いていきたいと思います。近くに行った時には絶対必ずお邪魔させて貰うので…これからもこんな私達ですが…お世話して下さい!」


知ってる人は、私が誰にありがとうって言ったのかわかったと思う。


でもそうじゃない人もいるから、これを知らない人へのありがとうもこれからもよろしくねも絶対言いたい事だから
最後は込み上げてくる涙を噛み殺して、笑ったの。







目が覚めたら、ローが隣に居なかった。


でも少し覚えてる。
明け方ローが体を起こした事で寝惚けながらも起きた私は、まだ寝てろって頭を撫でられた。

だから不安になんて思わなかった。


おめでたい私の頭は、うかうかしてたら席が埋まるって
ペンギンのイタズラの餌食になるって思って
そそくさと顔を洗って食堂に向かったんだ。


目が覚めて、その時ローが隣に居なくても
私もう不安に思わなかった。


ローの気持ちが疑いようもないことを、昨日改めて実感出来たから。
父様の心変わりの原因も知れて、私が今そんな状況に置かれてはいない事をちゃんと
理解出来たから。










「おはよー!…目玉焼き?良いね!!」
「運ぶの手伝ってくれ」


ベーコンの焼ける芳ばしい匂いと卵の焼ける匂い。
既にテーブルに並んでる白菜漬けと金平牛蒡に、炊きたてのご飯とお味噌汁の匂い。


若干二日酔い感の滲む皆の顔と、ご飯とお味噌汁をよそう中での日常の会話。


あぁ幸せだなって思った。
こんな何気ない幸せがいつまでも続けば良いなって、そう思った。


「先に食べてろと、船長が。時間だし頂こう」
「「「「「「いただきます!!!!」」」」」」


そう言えばローだけじゃなくベポの姿も見当たらなくて。
でも浮かれた私はそんな事を気にもかけなかったんだ。


一番扉側の皆が目玉焼きに醤油を垂らすのを見て、何の疑問も感じないかのようにそれを頬張る姿を見て
白菜漬けとご飯を口に放り込みながらペンギンに視線を送った。


な?こいつら気づかねぇだろ?

本当それ。


無言の会話が、私とペンギンの視線の間で交わされてた。













「ウイ!!…ちょっと来て!!早く!!!」
「ベポ…?どこ行ってたの?ご飯冷めちゃうよ?」


何の変哲もない朝食の時間を、見るからに動揺した親友が
引き裂いた。


「良いから急いで!!…もう!!!」


何なのよって思いながらベーコンと卵の白身でご飯を味わってた私の腕を、ベポの手が無理矢理引っ張った。


そこまでお腹空きすぎて限界って訳でもなかったし、ベポの様子が普通じゃなかったから
腕を引かれるがままに着いて行った。










まさかこんな事が起こってるなんて、夢にも思わなかったの。







destruct at reality.