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いってらっしゃーい、と手をヒラヒラ振られながらマンションをでた。親か。そもそも何で普通に人の家に入ってこれるかな。頭おかしいよね。あまりにも受け入れ難い状況で声も上げられなかった。ここのマンション、中入ったらセキュリティ全然なってないじゃん。怖すぎ。まあ、私が鍵閉めなかったのが悪いけどさ……悪いの私?



「時間ぎりぎりかも…」



仁王さえ乗り込んでこなければ…。軽く駆け足になりながら学校へ向かっていた。すると見覚えのある車が…


「…まさか」

「よー」

「ぼ、坊ちゃま…」



車改めリムジンが脇道に停まった。


「…おはよ、私急いでるから」

「おい、待て」

「なんですか?」


こっちはギリギリ遅刻するかしないかの瀬戸際なのだ。こんな優雅に登校してるセレブに用はないんだけど…。


「乗れ」



は?


「いやいやいや、いいよ」

「あーん、俺の命令は絶対だ」


何処の王様だよ。昨日いきなりキスしてきた人の車にやすやすと乗り込む程馬鹿じゃない。それに仮にも“跡部家のリムジン"に乗るなんて…!


「いいから早くしろ!」


「…はい」


弱いなー…私。

乗っちゃったよ。





車に揺られながら今日は登校です……ではなく、リムジンに乗りながら一切の揺れも感じずに優雅に登校してます。そもそも自転車で行かないのかって話だよね。…三橋君にパクられてます。それでリムジンて…それもこれもこの隣にいる坊ちゃまが原因なんだよねぇ。まず何で隣、前乗れよ。


「お前名前は?」


……そういえば昨日言ってなかった。

「えーと、苗字名前です」

「……俺は跡部景吾だ。ところで学校何処だ?」


あ、それも言ってなかった。


「坊ちゃまの通われてる氷帝学園の隣の庶民高校です」


庶民高校とか言っちゃった。後で全校生徒に謝んなきゃ。


「なら、問題ねぇな」

「すみません、坊ちゃま」

「…っ、その坊ちゃまってのやめろ」


えー…だって坊ちゃまじゃん。一応敬ってるつもりだったんだけどな。


「えー…じゃあ跡部さん、わざわざすみません」

「……ふん」


何で不機嫌なの?言い直したのに、謝ったのに。つくづくボンボンの考えてる事は理解ができない。理解しようとも思わないんだけどね。


その後は学校に着くまでしばらく跡部からの質問攻めにあっていた。「何処から越してきたんだ?」「いつ越してきたんだ?」仁王とどういう関係なんだ?」関係?ただの隣人です。関係なんかあってたまるか!




「着いたな」

「ありがとう」


当たり前だけど周りからの視線が凄い。朝っぱらから校門の前にリムジンが停まったんだもんね。





「……名前、お前何やってんの?」

「あ、お兄ちゃん」



111026



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勝ち気なエリオット