13「え、は?リムジン?え?」
車を降りたらちょうど兄に会ってしまった。
「り、リムジンです」
「どうしたのお前、何やらかしたのお前」
いや、何もやってはないんだけど。
「じゃあな」
「あ、どもー」
リムジンで颯爽と氷帝に行く跡部。
「ちょっと、今の跡部様じゃない?」
「氷帝の?」
「まじ?」
「めっちゃカッコイイんだけど!」
そんなに有名なのか跡部…様。様とかウケる…。さすがというかなんというか。
「は?今のリムジン跡部?」
「跡部の事知ってるんだ」
「知らない方がすげぇ。そもそも何でお前が跡部んちのリムジンから降りてきてんだよ」
「なんか、マンションの向かいが跡部邸だった」
「……まじ?」
「まじ」
「あの豪邸跡部の家だったのか……すげぇ」
「凄いけどさ…」
「いいなー、俺もリムジン乗りてー」
いーないーなとか言いながら校舎に向かって行く兄。いや、別によくもない。
「名前、おはよ!」
「シェリー…」
「見てたよ、リムジン」
「…あはは」
明日からはちゃんと歩いてきます。うん、絶対。
「どうしたの?」「何で名前ちゃん、跡部様の車から降りてきたの?」「跡部様と苗字さんてどういう関係なの?」
とかね。朝1番、教室に入って皆からの質問の嵐。まあびっくりするのも当たり前だと思う。今まで氷帝の方々には全く興味がないというように(実際にない)振る舞ってきた私が、氷帝のキング(らしいよ、跡部が自分で言ってた)の跡部様のリムジンから降りて来たんだもんね。
「ただのご近所さんだよ」
とでも言えば、
「え!名前ちゃんの家ってあの高級住宅街にあるの?!」「跡部様のお家の近くなんて羨ましい!」「今度遊びに行ってもいい?」
とかとか、更に面倒臭い事になっちゃったりもした。というか、跡部邸の為に私の家に遊びに来るとかどうなの、それ。
「お前さっきの凄かったな」
「わー、三橋君も見てたの?」
「あれ、もう見て下さいって言ってるようなもんだろ」
「好きで乗ってきたわけじゃないのに…大体三橋君が自転車壊れたとか言うから」
「悪い!新しいの買うまで、な?俺家遠いし」
私も近くはないんだけど…
「リムジン嫌なの?」
「そりゃ乗れたのは良かったけど」
「いいなー、リムジン。俺も乗りたい」
「お兄ちゃんと同じ事言ってる…」
今日一日は騒がしくなりそうかも…
111105
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