28『今日の夜から明日の朝にかけて雨、所により雷雨となるでしょう』
雨か…やだなぁ。雨ってなんか苦手…。風情を感じるところもあると思うのだけど。雨の日って大体車に水はねられるか風強くて傘持ってても傘の意味をなさなかったりしてびしょ濡れになるんだよね。晴れてる方がやっぱ好きかな。
「あれ?雨降ってないじゃん」
昨日の天気予報なんだったんだ。夜中から雨降るのかなって窓の外みたら、太陽出てるし。傘…持ってかなくてもいい…よね?
「おはよー!」
「おはよー名前ー」
「今日雨とか天気予報で言ってたけどなんでこんな晴れてるの」
「なんか午後から雨降るらしいよ?」
「え、嘘?!」
聞いてない!んー…朝も天気予報見てくるんだった。
「ホームルーム始めるぞー」
担任が教室に入ってきたのでみんなそれぞれの席に着きだす。
今窓の外を見る限りだと全く雨が降る気配なんてないんだけどな…。本当に降るのかなー。まぁ、降らないことを願うばかりです。
「うっそでしょー…」
午前中まであんな晴れてたのに…。遠くの方で静かに鳴り響く雷鳴。シェリーが朝言ってた通りだ…。青空だったのに今は灰色の雲が空一面を覆っている。
「傘…持ってないや…」
折り畳み傘すらない。下駄箱で立ち往生するしかないのか…。止むの待とうかな…でもこの降り方だといつ止むか分からない。
「…天気予報なんて信じないぞ!」
天気予報責めても仕方ないんだけど…ため息しかでません。
「…苗字?」
声がした方を振り向くと…
「あ…三橋君…」
「何してんの?帰んないの?」
「いや、ものすごく帰りたいですよ。でも帰れません」
「何だよそれ」
よく分からないといった表情でこっちを見る三橋君。しばらくしたあとニヤリと笑って、
「帰ろうぜ」
「雨の中傘も差さずに帰るのはちょっときついです…」
「やっぱり傘忘れたわけね。いーじゃん?これあるし」
「?」
三橋くんは自分の持ってる傘を指差した。
ん?そ、それって…
「それって…、や、それ」
「やだ?俺と相合傘」
いたずらっぽく笑う三橋君にキュンとしてしまった。やばいよ、さすが王子…。
「や、その…嫌ってわけじゃないんだけどね?そのー…」
やっぱりさ、王子なんですよ三橋君。いくら授業が終わってから時間が経った放課後とはいえまだ人はまばらにいるのです。三橋君のファンなんかに見られた日には…考えるだけでも恐ろしいです!そしてこの間のコンビニの帰りしかり、毎回お世話になっているから申し訳ない。……自転車の借りがあったとしても!
「なんかお前色々気にしてそうだけど…」
グイッ
「わぁっ」
「関係ねぇよ」
そのまま腕をつかまれて傘の下に入れられてしまった。勿論隣には三橋君。
「ご、ごめんね?」
「いいって別に。早く帰りてーって顔してたぞ?」
「あはは…」
顔にまで出てたか私。
「そんなに嫌だった?俺との相合傘」
「いやいや、そんな事ないよ!ただ申し訳ないのと、その色々と…」
「いろいろ…ねぇ」
「やっぱ三橋君かっこいいからさ…女の子の目とか気になるし…」
「苗字〜俺にお世辞言ってもなんも出ねぇぞー?」
はははーなんて呑気に笑ってる三橋君。自覚ないのかなぁ。あなためっちゃモテるんですよ?
「まぁ、俺は苗字と相合傘できてうれしいけどなー」
「えっ…や、三橋君…それこそ私にそんな事言っても何も出ませんよ」
ちょっと誤魔化してみたけど内心ドキドキした。さすが王子。女の子の扱い慣れてるな〜。
しばらくドキドキが消えませんでした。
130520
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