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雨の日はどうも調子が悪い。低気圧だと頭痛もあるから本当に気が滅入る。
神奈川にいた頃よりも東京に着いたら雨は大分小降りになっていた。傘を差しながら家に向かった。
「…?」
マンションの近くに来た時だった。見覚えがる背のちっさい女がいた。言うまでもなく俺の隣に住んどる奴。しかし奴の隣にもう一つ見慣れない人影があった。男だった。
「見たことない奴じゃの…」
なんとなく面白そうな感じがしてしばらく様子を見ることにした。
が、様子がおかしい。さっきまで普通に喋っていたのにいきなり男の方が名前の方に顔を近づけた。道の真ん中でキスか?
なかなかじゃのー。……俺も人の事言えたもんじゃないか。
「何じゃ、キスしとるんじゃなか?つまらん」
別にキスしとるわけじゃなかった。にしてもあいつの顔は真っ赤だ。くく…相変わらず可愛い反応しとるのー。
「おー、困っとる困っとる」
名前の反応が面白くてしばらく見てたが…邪魔してやるか。
「名前ちゃーん?何しとー?」
「に、仁王っ…」
「ん?誰じゃ、そいつ」
「と、友達!」
「ふーん…」
友達…ね。
「み、三橋君ありがとね!こんな所までごめんね」
「お前傘忘れたんか?クク…アホやのー」
「うっさい!」
「ははっ…やっぱアホなんだな苗字は」
「三橋君まで…」
「わりぃって。じゃーな!」
男は名前に別れを告げて帰っていった。
「ところでさっき何してたんじゃ?」
「な、なんもしてない!」
「ほー、顔真っ赤じゃ。怪しいの」
「うーるーさーいー!」
必至で否定してるようだが焦りすぎて説得力の欠片もない。
「さっきあいつがやろうとしてた事俺がしてやろうか?」
「は、は?」
アホ面しやがって
「キスじゃろ?」
引き寄せて、そうこいつに言えば目を見開いて
「ば、バカ…!そんなわけないでしょ?!」
一気に真っ赤になる顔
「どうかのー」
「あんたじゃないんだから!三橋君はそんな事しないもん!もっと他の子にするはず!」
慌てて俺から離れ否定する名前。ただの友達なんだと。キスなんてするわけないんだと。
俺は全くそうは思わんけどな。三橋と言ったか、さっきの男。冗談で女にあんな顔するとは思えん。まぁ、俺の個人的で客観的な意見に過ぎんけど。
ふーんと軽く返事を返しておいた。
130523
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