44と、まあシェリーは私を置いて先に部屋に帰ってしまいました。シェリーが上がった後一人で露天風呂を満喫した私。お風呂って落ち着くよね。ふー、なんてババくさい声出したりなんかしっちゃたけど気にしない。
……基本的に私はそこまで大きいドジとかしないし、天然ちゃん気取るつもりもない。どちらかと言えばしっかりしてるタイプだと自分では思ってます。あくまでも自分でだけど…。それなのにシェリーや三橋君に時々心配されるのはなんでだろう、っていうのがきっとこういう事がたまに起きるからなんだろうと思った。そうです。
「迷った」
なんともベタな展開すぎて焦りすらもしてない私。困ってるっちゃ困ってるけども。まさか自分の部屋に戻れないとは。三橋君とかが知ったら絶対バカにされるしシェリーには呆れられるだろう。
「ここのホテル広すぎなんだもんなー」
とぼとぼとりあえず周りを見ながら歩き出す。迷子をホテルが広いことのせいにする。だってこんなに広かったらどっちから来たかとか分からなくなるよ。でもむやみにうろちょろしてたらさらに迷いそうで…。どうしたものか。
「…シェリーに電話すればいいのか」
とっさにケータイの通話履歴からシェリーの名前を探す。
「ですよね」
何回かコール音がした後に留守番電話センターにつながる。それもそうだ。寝るために先に部屋に戻っているのだから。それにしたって電話の音に気付かない程爆睡してるんだろうか。相当疲れてるのね。それから何回か掛け直したがつながらなかった。ここで三橋君に掛けようとも思ったが絶対バカにされるのを考えやめた。それにこんな事で呼ぶのも申し訳ない。
「ふー…迷子って大変」
自分の無力さにため息をつきながら次なるお助け係を探すべくケータイの電話帳を見ていた時だった。廊下の向こうから二人組の声が聞こえてきた。特に気にも留めることなくケータイの画面を見ながら歩き声の主たちとすれ違おうとしたら、
「ねーねー何してんのー?」
「なんか女の子いる」
うっわ…酒くっさ
「このホテル泊まってんのー?」
「あ、はい…」
今日はろくなのに絡まれない…うわー肩掴まれたー離してー。今私忙しい、自分の部屋探すので忙しい。
「なにしてんの?俺らテラスで飲んでたんだけどさー迷っちゃったんだよねー」
「一緒に部屋探してよー」
げぇええええ
この酔っ払い達と同レベルって事にショックを隠せない。
「このホテル広いからさー、よく分かんなくなっちゃってさー」
「ちょ、っと」
酔っぱらいの一人に肩を抱き寄せられて顔の近くで喋られた。めちゃくちゃ酒臭い。
「ねー、行こう?」
「い、忙しいんで無理です!」
「いいじゃん行こうよ〜」
もう一人にも行く手を阻まれてしまった。挟まれる状態になってしまいどうにもできない。一緒に探してくれたらお礼してあげるから〜って、それなら私の部屋も探してくださいよ。なんてこいつらがそんな冷静な判断できるわけないし…。
「ほらー行こう?」
「…うわ」
思わずうわとか言っちゃった…だってめちゃくちゃ腕触って触ってくるし、気持ち悪い。しかも行こうとか言うくせにそこから一歩も動こうとしない。挙句の果てに壁にどんどん追いやられる。
「ちょっと…っ」
もう一人にも腕を掴まれてしまった。
怖い。
掴まれてる腕の力が強くなり、無理やり感と有無を言わさない視線、更には酔っているというたちの悪さに恐怖を覚えた。
「ほらー」
「離してください!!」
「えー?」
背中に腕が回ってきた。
やだ…っ!
ガクンッと膝の力が抜けた。
誰か…
「おい」
130705
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