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「文化祭、どうする?」










はてさて、文化祭とは。
学生の青春そのものを詰め込んだかのような、高校生活一年を通して見ても最大のイベントである事は間違いない。クラス単位での出し物だったり部活でのブース作成は毎回、学生達も一般客も多いに盛り上がる。文化祭中もさることながら、準備期間も中々の盛り上がりをみせ学生達が一致団結する素晴らしき学校行事なのだ。





文化祭がある学校は。




「どうするって、何…うちの学校ないじゃん、文化祭」


そうなんです。私たちの学校文化祭がないんですよ…。「皆で盛り上げようぜ!オーー!」なんて拳を上げようにも文化祭自体が存在しないのだがら、振り上げた拳は悲しいかな、そっと下ろすしかないのである。


「それは分かってますとも」


意味分かんないよね、何が楽しくて学生の楽しみ奪ってんの。まあしょうがないけどさ…学校側が決めてるんだし。代わりに遠足たるものがある。遠足って言うより旅行らしいんだけど。そんなの行こうと思えば行けるし、っていうか修学旅行あるんだからさ…。っと文句も程々にして。


「文化祭ないからさ、毎年この時期は他校の文化祭行ってる訳じゃん?今年も行く?って事」

「あー」


シェリーの質問は他校の文化祭に行くか、って事だったらしい。


「まあ、この辺りじゃ毎年氷帝が豪勢だけど」


うちの学校に文化祭がなくてよかったとすれば近くに氷帝もあるって所くらいかな…。文化祭の日にちが被りでもしたらほぼ客数は持っていかれる事間違い無し。


「たしか去年も凄かったよね。当日前からの宣伝ハンパなかったし」

「お金かけてるわ〜」




「ねえねえ!文化祭の話してるの?」

「名前とシェリー、これ見て!」


氷帝の文化祭の話をしていたらクラスの子が話に参加してきた。差し出してきたのは氷帝の文化祭のパンフレットらしい。


「これ、めっちゃ行きたいんだけど」

「なにこれ」

「「学生ホスト」」


なんだそれは。


「ホストって、あの」

「そそ、あのホストクラブのホスト」

「えぇ…何それ…」

「氷帝のイケメンが集まってやるらしいよ!」

「これだけの為に行きたい」


パンフレットの紹介を見ると氷帝生の各クラスから選抜されたイケメン?の生徒で企画するらしいんだけど…学生的にどうなの、それ。


「さすが氷帝、やること違うわ」

「シェリーも興味持った?行こうよー!」

「感心してるだけで興味は…」


氷帝生って発想が違うというかやる事が世間離れしてるというか。さすがお金持ち学校です。こんなのわんさかいろんな学校から女の子来るんだろうな…。ほんとうちの学校文化祭なくてよかったと心底思う。



140602



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勝ち気なエリオット