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「結構しっかりしてんだね…」

「さすが氷帝だな」

「学祭の企画一つでこんな本格的とは」



4人で学生ホストをやってる教室まで来たんだけど、外観から物凄い。氷帝だから元々教室も広そうだし廊下も広いんだけど、学生の文化祭一つでこれ程までに仕上がるのか…。


「なんつーか、業者呼んだレベルだな」

「本当にこれ作ったのかよ」

「クオリティが凄いわね…」


部屋の外からもう高級感漂う造りに…。いや、本当のホストクラブとか勿論行ったこと無いわけだけど、本物もこんな感じ何だろうなーって思わせる雰囲気。全体は黒で塗ってあって所々ゴールドとかダイヤを模したガラスの細工がしてある。派手過ぎず上品な造りで、扉の前の廊下には既に女の子達の長蛇の列が出来ている。


「人の数もやばいな」

「これ並ぶのー?」

「時間で回してるみたいだな」


何人かまとめて入店する形にしてるみたいだから次の集団には一緒に入れそうだ。周りを見渡しても男で入店しようとしてるのは三橋君と古川君だけだ。これは2人だけじゃ来にくいわけだ。にしても、学生ホストの呼び込み(この場合客引き?)してる人達も顔が整ってる人達が多いけど、それに負けず劣らず三橋君も周りの視線を掻き集めております…。


「お!列動いてるぜー。入れるかも」


一つ前の団体の時間が終了したようだ。列が動き出して私たちも前の人にならって進んでいく。





「「「いらっしゃいませ」」」



すご…。何人かの男の子達が出迎えてくれる。皆それっぽいスーツを着ている。


「すげぇな…」


三橋君と古川君も驚いているみたいだ。


「あ…」

「なんや、名前ちゃんやん」

「侑士君じゃん…何してるの、ってホストか」


中に入り男の子の列を通り過ぎると馴染みの顔があった。確かに侑士君もなかなか整った顔立ちをしている。ここにいても何らおかしくない。


「まさかホスト来てくれる思わんかったわ」

「いや、私が行きたかった訳じゃなくて友達がね」

「男子…?なかなか変わりもんやなぁ」

「ちょっと様子見て帰るつもりなんだけどね」

「あ、そうなん?向こうに跡部もおるから会うてきたら?」

「え、いるの?!」


侑士君が指差す方を見ると何時にも増してゴージャス感と色気を撒き散らしている跡部様がいた。暫く凝視していたら目が合ってしまった。


「げ…」


つかつかとこちらに向かって歩いて来るではないか。


「跡部ー、名前ちゃん来とるで?」

「何だよ…来てたのか」

「いや別に私は興味無いって…侑士君にも言ったけど」

「?」

「友達が来たがってたの」


後ろを振り向いて三橋君と古川君に視線をやった。


「………へぇ」

「面白そうだから来てみたかったんだよねー」


そう言ってポン、と私の頭の上に手を置く三橋君。


「……」

「本当イケメンばっかじゃん。氷帝すげぇな」


キョロキョロ室内を見渡す三橋君を見る跡部。え…睨んで、る?









「…お客様、ここは男性の方は入場をお断りしております。誠に申し訳ありませんが速やかにご退場願えますでしょうか」





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勝ち気なエリオット