03


結局最後まで仁王と一緒に買い物をした。いつもと違って変な気疲れもせずに終わった。…気疲れとか言ったら申し訳ないんだけどさ。でも、毎回仁王と会うと振り回されてる記憶しかないからな…。

だから今日の買い物はなんか楽しかった。って言っても周りからの視線は相変わらず痛いもので…。街中のお姉様方やら女子高生からの仁王に注がれる熱い視線と私に対するチクチクと刺さる視線。そこだけは気になったかな…。人気者と一緒にいるって大変だね。










ピンポーン




帰ってから部屋に荷物を置いて部屋着に着替えているとインターホンが鳴るのが聞こえた。


「なんだろ、セールス?」


インターホンのカメラを見にいくとそこには仁王が映っていた。なんだかそわそわしているけど気のせいだろうか。とりあえずドアを開けると、


「名前ちゃん!」

「ど、どうしたの仁王」


明らかに焦っている様子の仁王。


「さっきぶりじゃの。…じゃなくて、すまんが少しだけ匿ってくれんかのう…」

「い、いいけど…なんかあったの?」

「いや、えっと…」



どうやら仁王の話によると、前に付き合ってた女の子(仁王曰く別に付き合ってた訳ではないらしい、女の方が勝手にそう思ってたとかなんとか)が家に押しかけにくるだとか。もう縁を切ったつもりでいたのにまた最近連絡を寄越すらしい(これまた仁王曰く無視してもメールやら電話やらしてくるらしい)。女の執念は怖いね…。ってそれほぼストーカーみたい。


「今日俺の家来るとかメール送ってきての」

「別に鍵かけて居留守したらいいんじゃ…」

「あいつ合鍵持っとる」

「うわー…」


モテる男って大変だ…ね…。苦笑いしか出来なかった。



「っていうわけでしばらく」

「わ、ちょ、こら!仁王!」


仁王はさっさと靴をぬいで部屋に入ってしまった。無許可侵入!!!!


「なら、私の家じゃなくてどこか行けばいいのに…」

「だって近いじゃろー?それに外にいたくないんじゃー」



ボソッと言ったつもりが聞こえてたのかそんな答えが返ってきた。この地獄耳ー!


140401




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勝ち気なエリオット