04


「くだらん…ククッ」



さっきからこの男はテレビに張り付いたままだ。

しばらくしたら出ていくと思っていたらもう2時間は私の家に居座っている…。もう元カノ?さんいないんじゃない?なんて聞けば「甘いのーそんなんだとロクな男に引っかからんぞー」なんて言われたけどあんたもロクな女に引っかかってないじゃん!って言葉がここまででかかってたけど我慢した。



「あれ、どうしたの蒼い顔して」

「いや…なんかやな予感がしての…」

「…まっさか」




まさかとは思ったけど少し気になったので玄関へ向かった。


「ちょ、名前ちゃん!何しとんの?!」

「しっ!静かにして」


カチャ…




そろりそろりとドアの鍵を開け、ほんの少しだけドアを開けてその隙間から仁王の部屋の入り口を見れば、



「まーさーはーるー?」



(うーわ…)


思わず苦笑いしてしまった。だって、インターホン何回も鳴らしながら仁王の名前を呼んでいるのは、すんごい派手な格好をしたお姉さんだった。髪は明るい茶髪でくるくると巻いてあって、目元はまつ毛がバッサバッサしててライン引きまくり。胸元が大きく開いた短い丈のワンピースに黒いストッキングにピンヒール、ブランド物のバッグ片手にインターホン押しまくってる。


(成る程ね…こりゃ厄介そう)


何も無かった、何も見なかった事にしてドアを閉じようとした、

が、



「あ!ちょっとあなた!」

「いっ…?!は、はい!?」


女の人と目が合ってしまった。途端に女の人は私の方に向かって来た。グイッとドアを広げられてしまった。



「あなたここに住んでるの?」

「そ、うですけど…」

「この隣の人、出かけてるとこ見なかった?」

「え、あ、さ、さっき出てった気がします!多分!」

「ほんと?じゃあ、もし帰ってきたの分かったらあたしが来た事伝えておいてくれない?」

「は、はい…」

「んじゃ、お願いねー」


カツカツとヒールを鳴らしながら女の人は歩いて行ってしまった。











「なんか…凄かった」

「一瞬ばれたかと思った」

「あんな大人っぽいお姉さんと付き合ってたの?」

「だから付き合ってないって言ってるじゃろ」



仁王は顔面蒼白になりながらリビングの机に項垂れていた。私はもう昼間の買い物からさっきのお姉さんのくだりまででドッと疲れてしまいソファに崩れ落ちるように倒れた。


「ほら、お姉さん帰ったでしょ?あんたも自分の部屋戻りなよ。私もうくたくた」

「は?何言ってるんじゃ名前ちゃん。これからじゃろ」



ソファから顔を上げたらニヤリと笑った仁王の視線とぶつかった。



140407



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勝ち気なエリオット