06


赤也と遊ぶつもりだったのに普通にドタキャンされた。仮にも先輩の俺との約束をドタキャンするとか中々いい根性しとる。と言っても電話越しに聞こえた声は鼻水をすする半泣きの声で内容は英語の課題がなんとか。「手伝ってくだ…」の時点で通話終了を押した。



(暇じゃのー…)



待ち合わせ場所に着いていた俺は目的の相手を待つ必要がなくなり、且つする事もなくなり。せっかくの外出、そのまま家に帰るのはもったいないと思ってその辺をふらふらする事にした。そしたら、



「名前ちゃん?」

「…!仁王?!」



本屋の前を通りかかったら見つけてしまった小柄な後ろ姿。言葉より先に体が動いていた。肩に手を置けばクルッと振り返り驚いた表情で俺を見た。どうしたの、なんて、怪訝そうに聞いてくる名前ちゃん。俺って何でこんないつも警戒されてるんか。後輩にドタキャンされたとか悲し過ぎて口にも出したくない。適当に理由付けといて今は1人って事を言っといた。見た所名前ちゃんも1人みたいだしのう…。



「名前ちゃんも1人なんじゃし、デートしよ」

「え?!」



びっくりしとる。半ば強引に腕を引けば待ってと言いながらも着いてきて来れる。こういう所が好きで、こういう強引にしとる所が俺は名前ちゃんに嫌われてるんだと思う。

名前ちゃんをいろんな所に連れ回した。そしたら意外だと言われた。何がと聞けば俺が誰かと買い物をする事にらしい。まあ、確かに割りと1人の方が楽じゃし何かと縛られる事が好きではないからそれもある。けど、



「俺が名前ちゃんと一緒におりたいからじゃよ」



柄にもなく思った事をそのまま言えば名前ちゃんはそのまま硬直して徐々に顔を赤らめていった。その姿でさえ俺の気分を上げるには十分だった。




140416



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勝ち気なエリオット