08


遊んでるやらなんやら言われてるけど、俺的にもそれなりに選んでる。まあ、ごく稀に変なの引っ掛ける事もないわけじゃないんだが…。なんだかんだで欲求には忠実な俺。というか健全な男子なら当たり前じゃろ。



「こういうこと」



名前ちゃんの腕を引っ張って後ろから抱きしめた。少し小柄な身体は俺の腕の中にすっぽりと収まってしまう。名前ちゃんはどうしていいか分からないという感じ。いきなりの事にテンパっているのが分かる。それすらも可愛くて少し腕の力を強めた。


「ど、どうしたの?」


どうしたの、なんて。声で緊張してるのが見て取れる。俺が名前ちゃんと2人きりでほっとくわけないじゃろ。名前ちゃんの事を好きな子と言えば何やら色々考えているようだ。まあ、俺にそんな事言われても信じてはくれないのは分かってる。どうしたら、どうすれば気づいてくれるんだろうか。

腕を緩め名前ちゃんと向き合う形になった。少しピンク色になっている頬を自分の両手で包んだ。瞳を見つめれば訝しげに且つ、不安げに見つめ返してくる。なにやら察した名前ちゃんは抗議の言葉を口にしかけた。

でももう、遅いから。



「だめ、待てない」



自分の唇を名前ちゃんのに重ねた。名前ちゃんはかなりビックリしていてしばらく固まっていた。けど、少ししてから何か言おうとしてきた。でもそんな事させんて。僅かながらに口が隙間を作ったから更に深くキスをした。名前ちゃんの頭と腰を抱きしめる。苦しいのか、俺のシャツをぎゅっと握る。何もかも可愛くて。止められなくなっているのに自分で気付く。もう限界だろうと思って解放すると、涙目になりながら、さっきよりも頬は色付いていて息絶え絶えといった様子。指で目尻の涙を拭ってやる。こういうのは、まあ、なかなかクるものがある……。



「本当になんか、」


色々もたない。






「お邪魔したナリー」


いまだ放心状態である名前ちゃんをチラッと見やって家から出た。少しは俺が本気って事分かってもらえたんだろうか。

頭に2人の男の顔がチラついた。



140430





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勝ち気なエリオット