05
ーーおもちゃエキスポ当日。いつもは服装がわりと自由な会社だけど今日はみんなかっちりスーツだ。いつもと違う先輩方の姿や自分のスーツ姿に気合が入る。
小林さんが担当したお弁当は5種類から好きなものが選べてスタッフからも大好評だった。もちろん私はエビフライが入った洋食をチョイスしました。明日はエビチリがある中華にしようかなー。アンケートに書いてよかった!
そんなお弁当も「コストをかけすぎだ。」と土方チーフリーダーから怒られてしまっていたけれど、スタッフからの評判は上々だ。
おもちゃエキスポも無事終了し、みんなが後片付けに追われていた中を小林さんが「お疲れ様です。」と通りかかった。そんな小林さんを見て田所さんがまた文句を垂れていた。
「ったく、弁当ごときに経費かけすぎなんだよ。」
「困ったもんだ。」
「土方チームリーダーにもしぼられてたからなぁ。」
と女々しいトリオ三人組。でも
「私知ってますよー。三人ともおいしそーにお弁当食べてたと、こ、ろ!」
「なまえちゃん、それは言わない約束。」
なんてお話をしているとおもちゃエキスポのクライアント、トイズインターナショナル広報部長の関根さんがいらっしゃった。突然の訪問に皆の背筋もピッと伸びる。
各々自分の仕事を片付けながら土方チームリーダーと関根さんの会話に耳を傾けていたところ、「今回あれが良かったですね。弁当ですよ、スタッフの!」という関根さんの発言にみんなが少し驚いた。
「最高でしたよね。スタッフ、ゲスト、みんなの士気が上がった。弁当ひとつでね。」という関根さんのお褒めの言葉に、小林さんも嬉しい表情を隠せそうにない。ちょっとかわいいです。
「今回は一番の新人に任せたんです。」という土方さんの言葉に関根さんはオフィスを見渡す。「おお!?君か!」と、一番の新人だと思われた田所さんが声をかけられた。私は女だからと除外されたのだろう、多分。(老け顔とかだったら地味に傷つく……。)
関根さんが勘違いしたまま話はどんどん進み、名前を聞かれた田所さんは名刺まで渡していた。「覚えておくよ。」なんて嬉しい発言ももらっていた。田所さんが言う通り、先方が上機嫌なだけに否定するのも難しい空気だった。私が小林さんなら、空気なんて読まずに自分を押し通していたかもしれないけれど、小林さんはきっとそういう人間じゃない。
なんだかもやもやが自分の中に残った。
次の日、樺ヶ谷に新しく出来るショッピングモールの集客イベントの企画をうちの会社からも出すことになった。それに田所さんと小林さんが指名された。昨日の出来事があり、土方さんは小林さんにチャンスを与えてくれたのだろう。………え、ちょっと待って、私は!?
まじか、小林さん、私も負けてられない……。