よん
「いらっしゃいませ!」
放課後の私は専らアルバイトに夢中だ。本気でスポーツに取り組むことが昔から苦手で、高校生になったらアルバイトするんだ!ってずっと決めてた。
場所は学校からも近い某ハンバーガー店。マ◯クじゃないよ、ちょっとだけ高級な方。そうするとワイワイガヤガヤしたお客様が少なくて仕事がしやすい。バイトの先輩や社員さんも優しくて、職場には恵まれたと思う。「みょうじさん、今日もいい笑顔ね。」なんて言ってくれるおばあちゃんのお客様とかめちゃくちゃほっこりするからね。
少し暇な時間帯になり、普段は出来ない細かい掃除などをしながら時間が過ぎるのを待っていた。すると男女のお客様がやってきた。掃除の手を止めてレジを取る。「いらっしゃいませ。お召し上がりで、あ。」「あ。」「お召し上がりですか?」「持ち帰りで。」
別に私は薮さんに恋してる訳じゃない、と思っていた。ちょっとかっこよくて優しくしてくれるコンビニの店員さんで、会えたらラッキーくらいだもん。じゃあいまこの胸を支配してる黒い気持ちはなんですか。えー。まじか自分。ヤキモチとか、まじか。
先ほどやってきたお客様は薮さんと女の人だった。どんな関係かなんて、だいたいわかる。「なに食べるー?」なんて優しい顔、あんな顔見たことない。そりゃそうか、あっちはコンビニの店員さんで私はただのお客さん。お持ち帰りなのがまだ幸いだ。二人が食べてる間の楽しい会話なんて聞いたら私のダメージはどれほどのものだっただろう。こんなことで自分の気持ちに気付くなんて、どこまで私は子供なんだろう。
今まで楽しみにあのコンビニに通っていたのがなんだか急に恥ずかしくなって、私は次の日からコンビニに行くのをやめた。