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今日は高校の近くで花火大会があるらしい。どおりで来るとき浴衣の子がちらほら歩いていると思った。


「行きやすかィ?」


沖田さんが私の顔を覗きこんだ。

行きたいな、と思いつつ夏休み前不覚にも沖田さんにときめいてしまった自分を思い出す。

(大丈夫、この気持ちはまだ引き返せる‥)

そう思いながら沖田さんとある程度の距離を取りつつ日々を過ごしてきた。
好きな人が銀魂高校の王子だなんて不毛過ぎる。そんな恋はごめんだ。

ここでお祭りという夏の大イベントに行って私は大丈夫だろうか。


「オレぁ花火好きなんでさ」


聞かれたので色々悩んでしまったがどうやら私に選択権はないらしい。

喫茶店やゲームセンター以外で沖田さんとデートらしいものは初めてだった。


「何か不都合でもあるかィ?」
「……ないです」


沖田さんの機嫌は少し治ったようで鼻歌を歌いながらいつもより足早に手を引かれた。


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