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「なあチャイナ。赤ずきんって何が大変なんだよ」
「マヨは何も分かってないアルね。アイツ今日狼アルヨ。目の前に赤ずきんなんていたら絶対食べるアル」
「え」
「彼女ほんと大変アルなー」
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「え、な、何?え?何?何?」
「‥お前‥色気ねぇな。」
「え、沖田さん、、あっ、ん、ちょ」
「ムカつきまさ」
耳を噛まれたかと思いきや、それが首筋へと下がっていく。突然の出来事に頭の理解が追い付かない。
「あっ」
「そんな大きい声出してると、聞こえちまいますぜ」
今私たちは本来狼男の沖田さんが隠れる大きな木の後ろにいるが、
木の前の正規ルートには他のお客さんがちらほらと通行していた。
「やっ、痛っ、」
ガリっと首筋を噛まれた。
「っ、お、沖田さん、んっ、やっ、あ」
狼男の襲撃により被っていた赤い帽子が取れる。
噛まれた後に首筋をゆっくりと舐められる感触に声を抑えようと手で口を覆った。
「んっ、ひぁ」
「やべ、そそるねぇ」
何を言ってるんですか。馬鹿じゃないですか。いい加減やめてください。
どの言葉も頭をよぎるが声が出せない。
沖田さんの顔が私の首もとにうずまっていく。
狼男の耳が顔のすぐ横で揺れる。
揺れる度にくすぐったいような逃げ出したいようなビリビリした感触と、私が大好きな沖田さんの匂いがして頭がクラクラした。
「はっ‥ぁ」
やっと顔を上げた沖田さんと目が合った。
暗がりにはちみつ色の髪の毛がぼんやり浮かび、赤い瞳がキラリと光る。
(この狼になら食べられても‥いいや‥)
赤ずきんが己の命を諦め目を瞑った時、口を抑えていた手を払われて唇が重なった。
「っん」
「口、開けなせェ」
「はっ‥ん」
「オイ!総悟!いちゃついてんな!」
頭が真っ白になりかけた時大きな声がして一気に我に返った。
「チッ、いいとこだったんでィ。邪魔しないでくだせェ」
「チャイナの言うとおりじゃねえか。盛りやがって!教室ですんなっバカヤロー」
土方さんが真っ赤になって怒っている。
「土方さん、オレぁ今日狼男なんでさ。赤ずきん食って何が悪ぃ」
「別んとこでやらねーか!」
「別んとこってどこでさァ!今日は人多過ぎてどこ行ったっていちゃつけねぇや」
喧嘩をする二人を前にしても頭が働かず、さっき起こった出来事が現実だったのか未だに分からなかった。
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お化け屋敷を追い出されてしまった。
私の顔を見るや沖田さんが笑った。
「おめぇ服だけじゃなくて顔まで真っ赤じゃねぇかィ」
「っ誰のせいだと」
「満更でもなさそうでしたィ」
「っ〜〜」
そりゃそうだ。
私は沖田さんが好きなのだ。
沖田さんからしたらからかってるだけかもしれないが、私からしたら心臓が爆発するほどの事なのだ。
気持ちの温度差に涙が出そうになったが、夏祭りの時みたいになりたくなかったので一旦トイレへと行かせてもらった。
洗面台で深呼吸して滲んだ涙を拭く。
首筋が赤くなっているのを鏡で見てまた顔が熱くなった。
沖田さんは何を考えているんだろう。
キスだって、この前と違って口開けろって、一瞬、舌が‥
嗚呼もう土方さんが声かけなければどうなっていたんだろう。
先ほどのことを思い出し、恥ずかしさと切なさと悲しさと少しの残念な気持ちが入り交じる。
(からかいやがって、畜生)
負けない。
沖田さんのファンには勿論。
沖田さん本人にも。
私は沖田さんのそばにいたいのだ。
せめて沖田さんの卒業まで。
もう一度大きく深呼吸して沖田さんのところへと戻った。
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