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「しかしアイツ何個もらってんだろうな」
「トシだってめっちゃ貰ってたじゃーん。いいなーいいなー。オレなんて今年も0個だよ」
「あ、じゃあ私あげます。これ!」
「え!?いいの!?」
「なんか美味しそうで自分用に買ったやつなんですけどね。お礼にもなりませんが、、あ、土方さんも良かったらどうぞ。」
先日百貨店のチョコレート売り場で自分用に買ったものがちょうどいくつかあったので二人にお裾分けをした。
「ありがとよ。名字は総悟に渡せたのか?」
「あ、いいえ。でも沖田さんは甘いもの興味ないらしいんで気にしないで下さい」
「コラコラ、他の野郎にあげてたら気にしまさァ」
「え!?」
目の前に沖田さんがいた。
「お前どうした!?」
「え!あの女子の軍団の中にいなかったか?」
「あれは山崎でさ。金髪のカツラとマスクをつけさせてやりました」
目の前の沖田さんは帽子を深くかぶりつつ、大きな眼鏡をかけて金髪と顔を隠していた。
「よく考えたな」
「まぁアイツも一生で1度くらいあぁやって女子に群がられる経験が出来て喜んでるはずでさァ」
はぁ、と沖田さんは白い息と共にため息を吐いた。疲れた顔をしている。
不機嫌そうにこちらを見ておでこにデコピンをしてきた。
「痛っ」
「名前、堂々と浮気してんじゃねぇや」
「う、浮気じゃないですよ!」
「ハハ、本当に総悟は名前ちゃんが好きだな」
「目の前でいちゃついてんじゃねよ」
「疲れたでさ‥。卒業式は何か考えねぇとな。流石に卒業式まで名前と話すの邪魔されたくねぇや」
卒業式、という言葉にビクッとした。
そうだ。ぼんやり日常を過ごしていたが卒業式はもうすぐなのだ。
一緒にいると当たり前のように繋がれる右手。
この沖田さんの冷たい手とももうすぐおさらばだ。
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