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卒業生がぞろぞろ出てきた。
沖田さんは金色の髪をゆらゆら揺らし歩いてくる。
剣道部員に制止されながらもキャーキャー騒ぐファン達には目もくれず、一直線に私のところへ来てくれた。
「そのでっけぇ花束はオレにくれるんでいいんかィ?」
「卒業、おめでとうございます」
用意した花束を差し出すと沖田さんは案外嬉しそうに受け取った。
あぁ。この嬉しそうな笑顔を。
もうこのだるだるの制服姿を。
くるりとした赤い瞳を。
綺麗な金髪を。
全部、全部、こうやって見ることはなくなってしまう。
「なんでィ、泣くとは意外じゃねえか」
「っ、泣いて、ないです」
沖田さんは私をぎゅっと抱きしめた。
周りのファンから悲鳴が遠く聞こえた。
涙をこらえたら鼻が痛くなった。
伝えよう、自分の気持ちを。
「沖田さん、私、もうウソつくのやめまっ‥」
告白しよう。
そう思った瞬間に口を塞がれてしまった。
外野から大きい悲鳴が聞こえる。
どうやら私はキスをされているらしい。
「っぁ、沖田さっ‥」
「名前、」
「待っ‥ん」
聞いて欲しいのに、何度も何度も口を塞がれてしまう。
もはや告白どころか呼吸さえままならない。
「っは、ぁ」
「あ、やべ」
酸素が足りなくなり、力が抜けて腰がへなへな抜けてしまった。
「こ、こんな面前で‥な、何を」
「やり始めたら止まんなくなっちまいやした」
はぁ、はぁ、と肩で息をする。
沖田さんは私の身体を抱き起こしながら耳元でボソリと呟いた。
「好きでさ」
「え?」
今のはいつものラブラブの演技だろうか。
いや、周りに見せつけるならあんな小声で言ったって意味がない。
それに沖田さんの顔を見ると瞳の色と同じくらい真っ赤だった。
「お、沖田さ‥今、なんて」
「1回しか言わねぇ」
「え‥」
「‥‥‥」
沖田さんは頬を染めてぷいと花束で顔を隠した。
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