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そんなこんなでどうやってそこから家に帰ったかは覚えておらず、
夜寝る前今日あった事を繰り返し思い出してはただただ赤くなっていた。


(不良にもてあそばれてしまった)


明日は高杉君とどうやって接したら良いのだろうか。いや、そもそも明日彼は来るか分からない。来ないでほしい。どんな顔をすればいいか分からない。


高杉君が来ませんように、そう祈って寝たおかげかいつものことか、朝高杉君の席は空席だった。



「おぅ名前体調はよくなったか〜」
「は、はい」
「英語の先生から聞いてビックリしちゃった。高杉が連れてったんだって?」

担任の銀八が朝のホームルームで体調を心配してくれた。


「高杉も珍しいことすんのな〜」
「あ?んだよ」

銀八が笑った瞬間、ガラガラと教室の扉が開いて高杉君が入ってきた。


「え?高杉?朝から来んの珍しいじゃん。先生嬉しいな」
「気持ちわりーな。朝っぱらからうっせぇよ」


銀八の前を素通りし私の隣の席へと座る。


「お、おはよう」
「…おう」

一応精一杯の挨拶をするも、高杉君にはぶっきらぼうに返事をされてしまった。
やはり昨日のキスなんて高杉君からしたらきっと挨拶程度なのだろう。



変に意識しないようにしよう、そう思いつつ飴をひとつなめた。


「オレにも下せェ」
「ん、いいよ」

前の席の総悟が振り向いて飴をねだる。
朝飴をなめてると総悟はよくねだってきた。


「昨日どこ行ってたんでさァ」
「え?」
「二人でどっか行ったんだろィ」


総悟は勘が鋭い。
ニヤリと笑って私と高杉君を見比べた。
高杉君も総悟の挑発的な笑顔に気付いたのか微笑を浮かべつつ総悟を睨む。


「内緒だ。な、名前」
「授業抜け出して如何わしい事でもしてたんですかィ」
「そ、そんな事してなっ……」


慌てて訂正するがキスを思いだして赤くなってしまった。総悟はそれを見逃さず「まじかィ」と驚いた顔をする。


「なぁ今日も抜けるか?」

高杉君も赤い私を見てニヤニヤしながら恐ろしい事を言い出す。


「いや、抜けません」


このまま高杉君のペースにのせられるわけにはいかない。


「つまんねぇの」
「つまんない女で結構です」
「チッ」


舌打ちをされた。怖い。
高杉君は面白くなさそうにプイと向こうをむいた。


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