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風が吹いてその髪が少し揺れただけで周りの男は皆釘付けになる。

迸る存在感、その細胞ひとつひとつが美しい。

触れていいのか罪悪感すら感じる、しかしそれ以上の魂の魅力。


そう、君はマドンナーーー






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何だかんだと想いは伝え合ったものの、やっぱり本格的なお付き合いは私が卒業してからだそうで‥‥

「ちゅーくらいいいじゃん」
「コラコラ。オレの理性がそう簡単に止まると思うな」
「別に‥止めなくても‥」
「そ、そそそんなこと女の子が言うんじゃありません!」

たまに銀八の部屋に行っては料理を作ったりしていた。
銀八は真面目なもんで本当に手を出すことはなく、私も別にそれで満足だったので、健全な関係のまま気づけば卒業まであと少しという季節になっていた。

「ちゅーくらいって、軽く言って、本当現代っ子はふしだらだからな」
「出たおじさん発言」
「ゆとり世代コワイわ〜」
「全部銀八が初めてだよ」
「ん?」
「え?」
「いま何と?」
「え、だから‥私の初ちゅーは銀八と、、」
「えっ、え?ま、まじ?なかったの?お前さんざんモテてんじゃん。」
「いや、全部断ってきたから」
「えっ、じゃ、じゃあ、あれですか?あの、あっちの方もまだ誰とも‥」
「っ〜、セクハラ!」
「えっ、ちょ、まじすか。ちょ、オレ‥え。ヤバい。イメトレしなくちゃ‥」
「ばか!」

つい意識してしまう。
キスの向こう側の世界。
キスをしたのは本当に数えるくらい。誕生日とお正月とぐらいだ。

卒業したら、ちゃんと銀八とつきあって‥‥、それは一体何が変わってしまうのだろうか。

「好きです」
「ごめんなさい。好きな人がいます」

銀八とのことは勿論隠してるので告白は絶えなかった。むしろ卒業前だからか呼び出しの回数は増加した。しかし、前と違って一人ずつちゃんとちゃんと顔を見て告白を聞いたし、一人ずつちゃんと誠心誠意お断りした。

「そっか、分かった‥」
「本当にごめんなさい、でもありがとね」

恋をした。
色んなことが変わった。

「相変わらずモテモテだね〜」

意地悪そうに物陰から銀八が出てきた。

「もう、勝手に見ないでよ!」
「いや偶然だって」

風が吹く。
うわっと目を閉じた時に一瞬唇を奪われた。

「え‥」
「悪いね、嫉妬してんのよ。」

銀八は狡い。
お互い学校では近づかないって決めてるのに。
もう何事もなかったように距離を取り平然とタバコに火をつけてた。

私の顔はしばらく火照ったままだった。


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