6
朝になると総悟への恐怖心はすっかりなくなっていて、いつも通りの日常が戻った。
あれから半月がたつ。
3日前から総悟は学校を休んでいた。風邪を引いたらしい。
吸血鬼も風邪引くのかな、と思いメールしたところ、カーテン開けっぱなしで寝て日光を浴びたせいで具合が悪いらしい。
吸血鬼って結構大変だな、と思ったがそこからまた1週間が過ぎた。
再び送ったメールの返信はなく、心配になり総悟の家を訪れた。
高校生になってから総悟は1人でアパートに暮らしていた。
部屋の呼び鈴を鳴らす。返事がない。
血だってあれ以来飲んでない。もしかして死んでるのではないだろうかと思い、胸がざわざわした。
「あ」
どうしようと悩んでいたら総悟の声がした。
どうやら買い物にいっていたらしい。両手には大量の食料が入ったスーパーの袋が下げられていた。
「総悟!大丈夫?」
「あちゃー来ちゃいやしたか」
「え、駄目だったの?血いらなかった?」
「駄目っつーか、なんつーか‥」
血を吸うだのどうだのという話は外では出来ないので、とりあえず中にいれてもらった。
「凄い量だね。お腹、すいてたの?」
「やっぱり人間の食いもんは腹にたまんねぇでさ」
総悟はおにぎりを頬張りながらモグモグと、口を動かす。
「血、飲む?」
「んー‥」
総悟は私をちらりと見た。
「もう名前の血を飲むのはやめまさ」
「え?」
「この前怖がってたろ、オレの事。血を飲まなくてもいい方法、探してんでさ」
「総悟‥」
「オメェの顔見てると飲みたくなるから学校も休んでたんでさ。オレに喰われる前に帰った方がいいですぜィ」
総悟は困った笑顔を浮かべ菓子パンの袋を開ける。
心なしか痩せていたし顔色も悪かった。
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