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気持ちが余りつい沖田さんにぎゅっと抱きついた。
思えば私から抱きつくのは初めてかもしれない。

沖田さんは突然抱きつかれて驚いたのか身体に一瞬びくっと力を入れたが、はぁとため息をついてその力を抜いた。


「はぁ、本当に名前といるの疲れちまう」
「え、ご、ご、ごめんなさい」
「‥ちげぇよ。何つーか‥‥あーもう。今のオレ何か変でさァ。見ないでくだせぇ」


抱きつく私に沖田さんは横を向き顔を背けた。

照れているのか何だか沖田さんがへなへなだ。
こんな沖田さん見たことがない。

いつものギザギザとした刃物のような沖田さんとは別の人なんじゃないかと、つい疑ってさえしてしまう。

これはもう今まで頑張ってきた私のボーナスタイムとしか言いようがない。

可愛い。愛しい。嬉しい。
何とも言えないふわふわした感情がくすぐったくて頬がゆるむ。



「‥好きです」
「っ、やめなせェ」
「へへ。好きです」
「笑ってんじゃねぇ」
「沖田さっ、‥わ」

好き、と言いながら沖田さんの顔を覗きこもうとしたらソファーに押し倒されてしまった。


「あーっもう、うるせぇや。黙ってなせェ」
「っあ、」
「ムカつくからもう我慢しねぇ」
「え‥」


どうやら私は調子にのりすぎたらしい。
ポカンとしてる隙に首筋に顔を埋められる。

「ひゃ、」

沖田さんから貰ったネックレスがシャランと小さな音をたてた。



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