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うちのクラスにいる名字名前という女子生徒は可愛い。
黒髪でさらっと流れる髪の毛とか。長い睫毛とか。色白の肌とか。
目立つタイプではないけどトータルとして完成度が高い。
一目惚れっちゃ一目惚れなんだけど、もちろん中身にも惚れたわけで。
幼なじみの不良のことが恋心とはいわないけど気にかかってるみたいで、もうその男のことしか名字の世界にはいないみたいだ。
もったいねぇな、って思った。
この世界はもっと広いからもっとオレみたいな大人を知ってくれたらいいのにな、って。
「あれ銀八先生だ〜」
「おう、どうした」
ある放課後屋上でタバコを吸ってたら名字がやって来た。
「昼休みにお昼寝してたらお弁当食べ損ねちゃってね、屋上で食べたら気持ちいいかなって」
名字はニコッと笑ってオレの横にちょこんと座った。いちいち可愛いな、コイツ。
「あ、卵焼きくれよ」
「えー」
クスクス笑う名字。この時間にタバコ吸いに来てラッキー。今日のオレついてる。
「ほらあーん」
口を開けると「はいはい」と卵焼きを運んでくれた。
「うまっ!お母さん卵焼き甘い派か〜。オレの好み知ってるね」
「私が作ったんだよ」
「まじでか」
そういえばコイツ1人暮らしだったな。名簿に書いてあったわ。確か隣んちが高杉で…。
「高杉の幼なじみなんだっけ」
「そうだよ」
「隣に住んでるんだよな。ふしだらな関係とかになんないの?」
「え!?まさか、ないよ!」
ないのか?
本当にないのか?
オレだったら思春期に突入した瞬間部屋に押し入ってチョメチョメ…
「なぁ」
「なに」
「銀ちゃんって呼べよ名前」
「変なの」
やべ、うっかり下の名前で呼んじまった。
しかし、ケタケタ笑う名前は可愛い。
うわ、先生と生徒とかどうでもよくなってきた。
オレのタイプど直球なんですけど。
不思議に母性ある感じ。
しかも年下というギャップつき。
「お弁当銀ちゃんのも作ろうか」
「うおおおやべーー」
それから二週間。
毎日名前にこっそりアピールして(飴とかあげてみた)
半ば無理矢理付き合っちゃった。
大人は言葉をいっぱい知ってるから狡いよな。
でもこれでオレのものになった。
つづく
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