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「名前、来たのか」

この名前を呼ばれるのは久しぶりだ。

「来ちゃった」

非番の日、早速万事屋を訪れた。

「銀ちゃん、この女誰アルか?銀ちゃんの女アルか?」
「え!?銀時子どもいるの?」
「違ぇえ!」

可愛いチャイナ服の子がひょっこり顔を出す。

「初めまして真選組の隊士の名字男装です」
「真選組の隊士に女なんていたアルか?」
「普段は男のふりをしてるよ。本名は名前です。内緒にしてね」
「おい、そんな簡単にバラしていいのかよ」
「強い女は好きネ。内緒は得意アル!」

女の子は神楽ちゃんと言うらしい。真選組は男ばっかなので神楽ちゃんを見ると心が和んだ。

「おい、ちょっと大人の会話するからガキは遊んでこい」

銀時が私に気を遣って神楽ちゃんにそう言うと、神楽ちゃんは文句を言いながら大きい白い犬に乗って出掛けていった。

初めて来たがソファに座ると変に落ち着いた。

「名前」

銀時の低い声で名前を呼ばれると昔の記憶が 蘇る。

「おい、泣くなよ」
「‥ごめん」

泣いたのなんていつぶりか分からない。

「生きてて良かったよ、名前」

銀時に抱き締められる。銀時と最後に別れたときもこうだった。昔の記憶が蘇る。

「男の格好なんてしやがってよぉ」
「‥」
「真選組になってまで‥そんなにアイツに会いてぇか」
「違う。‥‥アイツを止めたいだけ」
「お前ぇ、綺麗な髪してたのに」

銀時は惜しそうに私の襟足を指で触った。


「無理すんなよ」
「うん」

銀時は昔からいつも見守ってくれた。

「一体どこにいんのかね、高杉は」

高杉晋助
私の師匠
私が真選組に入った理由

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高杉と出会ったのは戦場だった。

「ここはガキの来るところじゃねぇ」

里が襲撃にあい、生きるために死人の懐を漁る日々だったが、残党に見つかり殺されそうになっていたところを助けられた。

そこから高杉に頼み剣の教えを受けた。単純に生き残るために強くなりたかった。
高杉の仲間の銀時、桂、坂本ととにかく皆優しかった。
最初は私を連れて帰ってきた高杉に驚いていたが、次第に高杉と喧嘩ばかりする私をなぐさめてくれたり、一緒に剣の練習をしたりした。

皆に止められていたので実際に戦場に出たのはほんの数回。
それでもすぐ戦争は終わり、高杉と別れ、知らない間に高杉は幕府を敵にまわす凶悪犯へと変貌していた。

止めなければ、そう思った。

銀時に会ったせいか、その夜は昔のことを色々思い出してしまった。


つづく


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