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ー7話
「名前〜」
沖田さんは二人きりになると本当の私の名前を呼ぶようになった。
入隊試験で気づかれていたなんて、まさか最初からバレてるとは酷い話だ。
「お、沖田さん。なんですか。」
「朝飯行こうぜィ」
当然のように私の名前を呼びながら部屋に入ってくる男。
人の心に土足でずかずか入ってくるような男。
それが私の秘密を握る上司であった。
ーーーー
「おぅ、名字こっちこいよ」
「いやこっちこい!こっちに!」
「こっちのが広いぞ」
食堂で仲良くなった隊士達が次々誘ってくれるが、今日も全員沖田さんがひと睨みして諦めていく。
沖田さんはいつも座っている席に座ると「お茶」と私に声をかけた。
私は最大の弱みを握られてしまったが、特に今までの生活と変わりなく日常を過ごしている。
そう、今日も私はいつもと変わらず沖田さんに熱々のお茶をいれている。
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