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ー8話


「おいでなんし」
「綺麗な嬢ちゃんじゃねぇか」

部屋には二人の男がいた。

二人は私を上から下までじろりと見てニヤニヤと笑った。

「‥ゆっくりしていっておくんなまし」




1時間ほど経っただろうか。

男達の会話は金や武器やらの話題は上がったが、具体的な攘夷活動に繋がる話はなかなか出てこない。

今回はホシがハズレなのか、そう思った時に襖が開いた。



「待たせたな」




一瞬呼吸が、止まった


(高、杉‥)





「‥‥クク、今日の嬢ちゃんは偉く別嬪じゃねぇか」
「っ‥、」
「名前は?」
「名前‥で、ありんす」
「名前、ねぇ‥」



笠とマスクで顔が見えないように現れた男。

この男が高杉であると私には分かった。
その背姿、声色、香りも。全部何度も夢で見てきたのだ。

何年ぶりに会うが、それでもすぐ分かった。‥多分、向こうも。




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