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ー9話
やばい
何がやばいって部下達がヤバい。
もっと正確にいうと総悟と名字がヤバい。
二人はこの前キスをしていた。
その時二人とも女の格好をしていたせいか、その光景が一瞬綺麗に見え‥、って違う違う。
とにかく総悟は本当に名字のことが好きなのかもしれない。
今オレの目の前には名字がいた。
あのキスの後、総悟と一緒にいられないと泣きつかれ、ちょうど書類もたまっていたので暫くオレの小姓として働かせることにした。
部屋で一緒に書類整理を行うが、どうもアレだ。
(コイツ、女にしか見えねぇ)
名字は小さい。
顔も女みてぇにあどけない。
総悟以外の隊士達からも好かれているが、その気持ちも分からなくはなかった。
そうだな。
言葉を選ばず言えば可愛い。
女みてぇに可愛い。
「土方さん、そんなオレの事見られても困るんですけど‥」
「あ、オレ‥見てたか?」
「痛いくらい見てました」
名字はへらっと笑って書類を机の上でトントンと揃えた。
「なぁ、‥お前総悟とデキてんのか?」
「はい!?」
気になってることを試しに聞いてみたら、名字は持っていた書類を全て落としやがった。
パラパラ〜と書類が机の下に飛んでいく。
「へ、変な事言わないでください!」
「いや、そうか。わりぃ」
「沖田さんすぐからかってくるんです!この前も機嫌が悪くて‥」
「‥お前大変だな」
「そうなんです!だからもうしばらくここにいさせて下さい」
名字は深々と頭を下げた。
いや、いいっちゃいいけど。
なんかコイツと二人で部屋にいるのは落ち着かない。
どうもこう、そわそわしちまう。
野郎に興味なんかないはずが、コイツといるとどうもダメだ。
このままいるとオレは自分でも知らない自分を見つけてしまいそうだ。
そうなる前に余所にいってもらうしかない。
「それがなぁ、オレんとこももうすぐやる仕事なくなっちまうんだよな。別の場所行け」
「別の、場所?」
「せっかくだから色々学んでこい」
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