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ー10話
気がつけば半月ほど沖田さんと会っていなかった。
土方さんが気を回してくれたのか、沖田さんは遠出の任務に行っているらしい。
その間私は小太郎がいた内は久しぶりに剣の相手をしてもらったり、土方さんをからかったり(これは多分沖田さんのクセが移ったせい)、斉藤隊長改め終兄さんと昼寝をしたりしていた。
今朝は朝ごはんの時に山崎さんと食堂で会った。
「あ。男装君!」
「あれ、山崎さん、久しぶりですね」
「この前捻挫したとこが思ったより酷くて治療してたんだ。本当にあの時はごめんね」
「あー、全然いいですよ」
いつも邪魔する沖田さんもいないので一緒に並んで食べる。
あの潜入捜査した日をすでに遠い昔に感じた 。
謝る山崎さんを見ながら、山崎さんの遊女姿もちょっと見てみたかったなと興味本位で思う。
山崎は目が合うと少し照れたように笑った。
「本当に無事でよかったよ」
「沖田さんが、助けてくれて‥」
「あー聞いたよ。沖田さん男装君見た瞬間血相変えて自分が行くって騒いだらしいね」
「え、そうなんですか?」
「あれ、知らない?慌てて化粧して着替えを手伝ったって隠密組が言ってたよ」
「‥はぁ」
「沖田さん一緒にいないんだね。珍しい」
「なんか遠征行ってるみたいです」
沖田さんがいないと驚くほど平和だ。
そりゃ、街で事件があれば駆けつけるし、犯人と斬り合ったりもするし、色々と世の中では物騒な事もあるが、少なくとも私の心の中は平和だ。
しかし山崎さんから沖田さん話題が出たせいか久しぶりにその心の平和が揺らいだ。
沖田さんのことを考えると何だかズキンズキンと心がざわつく。
あの時キスをされて、半ばパニックで土方さんのところへ泣きついた。
それ以来会ってないのだ。
(次、沖田さんに会ったらどんな顔をしたらいいんだろう)
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