2
部屋に戻ると沖田さんがいた。
早番の巡回からちょうど戻ってきたようだ。
「あ、沖田さ…」
話しかけた瞬間くいっとスカーフを掴まれてキスをされる。
「んっ、ンン」
沖田さんの胸元をバンバン叩くとパッと手を離された。
「…おぅ、どしたィ」
赤い私に本人はケロリとした顔をしている。
「っも、もう何なんですか!?」
「まだ慣れねぇんかィ」
最近変だといえば、これもだ。
沖田さんはやたらにキスをしてくるようになった。朝起きてキス。寝る前にキス。何なら顔を見ればキス。
さも慣れない私が変だ、みたいな言い方をしてくるが、慣れる訳がない。そもそもキスをする間柄でもない。
「っ〜」
「でた、百面相」
沖田さんは楽しそうに笑った。
沖田さんの張り詰めている表情が少しやわらいだと思ったら、また嬉しそうにキスをしてくる。
「っん、ん、」
ちゅ、ちゅ、と音を立てて唇が重なる。
「…ん」
「名前の顔見ると、安心すら」
ポツリとそう呟いて、目が合った。
「え…」
「じゃ、オレぁまたちょいと外回り行くんでねィ」
「ま、またですか?」
人の心臓を大きく鳴らさせて、沖田さんは部屋を出た。
多分朝ごはんも食べないで働くのだ。
一体、沖田さんはどうしてしまったんだろう。
前/次
戻る
長夢
TOP