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「あぁ、総悟は高杉をどうしても自分で捕まえたいらしいぞ」
「えっ」

土方さんの部屋を訪ね、沖田さんのことを聞いてみたらびっくりする答えが返ってきた。

「ちょっと気ィ張りすぎたよな。らしくねぇ。高杉に恨みでもあるのか知らねぇけどよ」

土方さんは煙草の煙をふーっと吐いた。


「ッ、ケホッ」
「あ、悪ィ」
「変なとこに入って…ゲホゲホッ」

土方さんは慌てて煙草を消して私の背中をさすった。

「っは、あ」
「……っ」
「落ち着きました、すみませ…ん?」

土方さんの顔がやけに赤い。

「どうしました?」
「いや、お前…いや何でもねぇ」
「オレなんか変ですか?」
「何でもねぇって、近づくな」

土方さんの顔を覗き込む。
いつもの涼しい顔からは想像がつかないくらい珍しく焦っていた。


「何名前に照れてんでさ」
「沖田さん!」
「て、照れてねぇよ!」
「このエロ上司」
「ちげーっての!」

沖田さんは部屋に入るなり私の隊服のスカーフを引っ張った。


「名前、帰るぞ」

沖田さんはぷいっと土方さんに背を向けて、私をずるずる引きずりながら部屋をあとにした。



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長夢
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