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万事屋のドアを閉めて部屋に戻ると銀時はソファーに座りいちご牛乳を飲んでいた。


「…で、何の話?」

銀時がニヤニヤとこちらを見る。
昔、高杉との関係についても銀時に相談したことがある。
この銀時の意地悪そうな笑顔はその時と同じ顔つきだった。


「ほっぺた赤ぇぞ」
「あー!もう前と同じセリフ言わないでよ!!」
「え?あー前?前って高杉?そういやそうだっけな」
「もう覚えてるくせに!からかわないでよ」
「あ〜、あの時のお前可愛かったなぁ。高杉が何考えてるか分かんない、とか言ってよ」

そうだ。
高杉は当然の如く私を自分のもののように扱ってきて、私は当時本当に困惑した。
銀時に相談したところ、本人に何か言ってくれたのか何なのか知らないが、満月の晩に「オレの女になれよ」と抱き締められて、それから私たちは始まったのだ。

「高杉が何考えてるのかなんて、今も分かんないけどさ」

全部、何だか遠い昔の話のようだった。

「でもよ、あの時よりお前ずっといい女になってんじゃねぇか」
「え?うそ、こんな男みたいになっちゃったよ」
「嘘じゃねぇよ、…いい女だ」

銀時は笑っていちご牛乳をくっと飲む。

「も、もう、よくそんな甘い言葉が言えるね!甘いもの食べ過ぎなんだよ」
「ハハ、で、そのいい女が惚れたラッキーボーイは誰なのかねィ…」

駄目だ。銀時には敵わない。

「…いや、分かってんじゃん」
「分かんねぇでさァ」
「その喋り方やめて。ムカつく」
「まぁいいんじゃない?沖田君には女ってバレてんだろ」
「そうだけど…」

銀時はハハと笑う。


「いいんだって。別に周りにゃ男同士の恋もあるって思わせときゃさ」
「いや、それはどうなのかな」
「沖田君なら器用だしうまくやるっしょ」
「…その前にまだ私のこと好きになってもらえるかなんて、分かんないし」
「え!?待って。まだ付き合ってないの?この前迎え来てたじゃん!?」
「え、いや…あれは隊長として来ただけで…沖田さん過保護だから」
「いやいやいや、あちゃーお前ほんと…いや、いいんだけどさ」


銀時はため息をついて立ち上がった。
いちごの甘い匂いがふわっと香る。
私のところに歩いてきてポン、と頭に手をのせた。


「お前みてぇな女に好かれるなんざ、最高だろうよ。うまくいくといいな」

そう言っておでこにキスをする。
そこから頬や鼻にもちゅ、ちゅ、と落とされた。
いちごの匂いが一層強くなる。


「ちょ、銀時…」
「相談役の報酬。誰かのもんになる前にさ」
「く、口にはしないでよ」
「えーケチ」



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